学園に吹く肌寒い風。太陽は顔を出していない。
ゼオライトは普段着の上にコートを羽織り学園に着ていた。
反面、アイオライトは普段のまま、防寒着など羽織っていなかった。
「おーい、ゼオライ・・・くしゅんっ!」
「おう、アイオライト。お前大丈夫か?」
突然アイオライトがくしゃみをしたので、ゼオライトが驚き、心配する。
「う、ううん、心配ないよ。ちょっとゴミが鼻に入っただけだよ。」
「ホントかよ?今日は寒いんだぜ。・・・てかゴミが鼻にってなんだよ」
「あ、鼻にゴミ、か。でも別にこれくらい平気だm・・・くしゅんっ!」
「強がんじゃねーって。とりあえず厚着しろ」
「・・・持ってない」
「なんだよっ」
そんな彼らの元に、また冷たい風が吹き付けてくる。
「くしゅんっっ!」
「おい、風邪引くぞ。俺のコートでよけりゃ貸すぜ」
「で、でも、それじゃゼオライト君が寒くなっちゃう」
「つっても、前泊まった小屋はボロいし暖炉も無いからな・・・」
「外にいると寒いね、中に入ろう」
二人は学園の中に入り、冷たい風から身を護った。
しかし暖房などは無く、暖かくは無かった。
「火も無いな・・・これじゃ暖まらないぜ」
「どうしよう・・・」
「防寒着になりそうなものも無いな、どうすりゃいいんだ?」
そもそも布すら無い。これでは寒いままだ。
防寒に使用できるのはゼオライトの着ているコートのみ。
「運動して暑くなりゃいいんじゃねぇ?」
「でも、運動って言ったって手合わせくらいしかここじゃ・・・」
「それは前やったしな・・・」
「それにソーマの翼の起こす風が結構寒いんだよね」
「そうか・・・」
このままではただ寒さに耐えくしゃみを出しまくるしかない。そこで・・・
「ゼオライト君、ちょっとコートの前のファスナー開いてくれる?」
「ん、これを?いいけど・・・」
ジーーー。とファスナーを開く。そこからゼオライトが着ている服が見える。
「これでどうすん・・・っ!?」
突然、ゼオライトの胸にアイオライトが飛び込んできた。
よく見ると、自分の上半身にゼオライトのコートを少しかけている。
「な・・・何してんだよ?」
「・・・これならゼオライト君も私も暖かいかなって」
「ま・・・まあ、お前がいいなら、別にいいぜ」
ゼオライトはコートをもう少しだけアイオライトの方に引いた。
「ホントにこれで暖かいのか?」
「うん、暖かいよ」
「でも・・・動けねぇぞ?」
「いいのよ、このまま冷風が止まるのを待つわ」
「いつ止むか分かんねぇぞ?」
「でも、止むまでこうしてるもん」
「・・・仕方ねぇな」
アイオライトを胸の中に抱いたまま、二人は外を見張った。
「・・・・ん」
「どうした?」
「なんか・・・安心する」
「は?」
「何だろう・・・ずっとこうしていたい気分・・・」
「な・・・ずっとはダメだぜ、俺が困る!」
「分かってるけど、何か・・・心地よくて」
「心地いい?」
「うん、前に泣いた時と同じ、温もりを感じる・・・心かな」
「・・・よく分からねぇけど、お前こうしていたいのか?」
「うん、していたい・・・けど、それはムリだよね。冷風が過ぎるまでで我慢するね」
それから幾分か経ち・・・日が顔を出し、冷風が温風へ変わる。
「おい、外が暖かくなったんじゃねぇか?」
「ほんと?・・・ちょっと残念だけど、それなら・・・」
アイオライトは、ゼオライトの胸から離れた。
体には温もりが残っている。
「2度もお前をこの胸で受けることになるなんてな」
「えへ、ごめんね、甘えん坊で」
「いや、男としてこ
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