連載小説
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19
5日目の午後6時。朝に行われたゲームで、生きている人がもう20人未満になった…。
…死んでしまったみんなは、どうなるんだろ……いつも医療が死体を回収してるけど……どこに行ってるんだろ…


優「…………」
遥「優君?」
俯いている僕を呼ぶ。
優「…何……?」
遥「えっと…倉本先生知らない?なんか、どこにもいないんだけど…」
優「……………」
倉本先生と聞くと、真っ先に祐也が頭の中に浮かぶ

優「…知らない………」
遥「そっかぁ……どこ行っちゃったんだろ…」
周りを見ると、先生を探している様子の生徒達が何人かいる。見つかってない様子だ…
遥「優君も、探すの手伝ってよ?」
笑みを浮かべて話しかけてくる遥さん。正直、先生には会いたくないけど……心配だ。
優「うん…わかった、手伝うよ」
遥「本当?ありがとう!」

僕は先生を探すため、教室から出る。廊下の窓から、先生がいないかを見る…すると、ある光景を見てしまった……





















先生が、屋上の柵の外に、先生が立っている光景を

優「…!!」
僕は急いで窓を開ける。
優「何やってるんですか先生!!」
先生は僕を見る。見つかって驚いたような表情をしていたが、すぐに悲しそうな表情に変わる。

僕の声に気づいたみんなは、窓を開ける。
京也「何やってるんだよ先生!!」
遥「先生!やめてください!」
楓「先生!」
生徒が各々に先生に向けて叫んでいる。

楓「誰か、先生のところに!」
野崎「俺が行く!」
野崎が窓際から離れて、走って先生のいる屋上まで走ろうとする。
七瀬「来ないで!!…………私は……祐ちゃんがいない世界なんて…生きていけないわ!」

遥「で、でも!今先生が死ぬことは、きっと祐也君は望んでないです!」
京也「そうだ!祐也の分まで生きろ!!」
楓「野崎くん君、今のうちに…」
野崎「おう」
野崎は気づかれないように屋上へと向かう

七瀬「………」
遥「先生!」
春川「先生!!」
みんなが必死に呼び掛けている。だけど先生は、悲しい表情のままその場から動こうとしない。
屋上の扉が開く音が聞こえる。恐らく、野崎が屋上についたのだろう

七瀬「…さよなら………」
先生は屋上の柵から手を放した。それを見た野崎は、急いで先生のところへ向かう。
野崎が、手をのばして先生を掴もうとする…



















が、間に合わず先生は頭から地面に向かって落ちていく。
優「…っ!!」

先生ッ!!


先生はそのまま、頭から地面に落ちる。地面にぶつかったと同時に、頭から血が地面に散る。

遥「…っ」
遥さんは口に手を当てて、その場に力なく座り込んだ。震えていた……
野崎「………くそっ!!もう少し早かったら…!!」
京也「なんで……なんで死んじまったんだよぉっ!!」
生徒全員、泣いていた…どの生徒からも人気だった先生だ………悔やむ人も多かった…
僕は泣かず、ずっと先生の死体を見ていた………先生が死んだ原因なんて、みんなわかっている…祐也が死んでしまったからだ。
そして、祐也が死んでしまった原因の一つが僕だ………だから、倉本先生の死因は僕でもある…
まただ…………また…大切な仲間を見殺しにした………













もうすぐ朝食の時間だ…だけど、僕は教室に戻らず屋上にいた。今は……1人になりたかった…
優「…………」
ふと、この前の夜のことを思い出す……僕と遥さん、京也や宮田さん…祐也と倉本先生で、話をしていた夜のことを…
確か、ゲームが終わったら6人で何処かへ遊びにいこうって言う話だったよね…

京也「 よっしゃ!なら終わったら、遊びにいくことな!みんなで! 」
あの時、京也が言った言葉が脳内で響く…
もう無理だよ……二人はもういない………それに、僕がやったことを知れば……
僕も…ここから飛び降りて死のう…

僕は、柵を越えようとした。すると後ろの扉が開く音が聞こえる
振り返ると、そこには京也がいた


京也「っ!何やってんだよ優!!」
京也が急いで僕のところまで来て、僕を柵の内側に戻す。
優「……………」
京也「何でお前まであんなことやろうとしたんだよ!!」
京也は僕の胸ぐらを掴んで怒鳴る。

優「……僕が………僕が…倉本先生が死ぬきっかけを作ったから…」
京也「どういうことだ…」
京也が僕の胸ぐらから手を放して、僕の話を聞く

優「……今日の朝に行われたゲーム……終わる頃に祐也と逃げてたんだ……そしたら、祐也が途中転んで………助けようとしたけど、体が言うことを聞かなかった…」
京也「…………」

優「祐也は僕の目の前で殺されて……それでその後、倉本先生が来て………祐也の死体を見て、祐也を探し始めたんだ…多分、その時に祐也が死んだことに気づいてたよ…」
その時の光景が、鮮明に思い出される…

優「僕は仲間を見殺しにしたんだ………その事実が嫌になって、飛び降りようとしたんだ…」
京也「…ッ!!」
京也が、僕の顔を殴った。

京也「…逃げてんじゃねーよ……お前が見殺しにしたことを、自殺したからって何の償いになってねぇ、ただの現実逃避だ!!」
優「だって……」
京也「だってじゃねぇ!!二人が死んだことが原因なら、自殺するんじゃなくて二人の分まで生きようって思わねーのかよ!!」
優「…!」

京也「この状況だから、誰が死んでもおかしくねぇよ…でも、生きてる俺達は死んでいった奴等の分まで生きねーとダメだ!それは見殺しとか関係なくだ!!」
優「………ごめん、京也…僕が間違ってたよ…」
僕は立ち上がる

優「二人の分まで…いや、みんなの分まで生きるよ!」
京也「よし、流石俺の親友だ!さぁ、みんなの所に帰るぞ。心配してるからな?
優「うん!」
屋上の出口の前まで来ると、京也が止まる
京也「…さっきのことは、みんなには黙っておく。」
優「うん…ありがとう、京也」


教室に戻ると…そこには………


力士「どすこぉぉぉぉい!!朝食が欲しければ、おいどんに勝つでごわす!!」
あの「ゲーム」が、始まっていた……



つづく
15/05/14 09:42更新 / 青猫
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