連載小説
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優「…ん…………」

優が目を覚ます。外は明るくなっている……もう朝なのだろう。

優「…」
僅かな希望を持って、周りを見る。もしかすると、学園で起こった出来事は、夢かもしれないと………だけど、ここは体育館。みんなが寝ており、優の近くではすごい体勢で寝てる京也がいる

優「…相変わらず京也は、寝相が悪いなぁ…」
遥「あ、相川君おはよう」
体育館の入り口からこちらに歩いてきた遥が、優に挨拶をする

優「おはよう、桜井さん…」
優は立って、遥の隣へ


遥「……やっぱり、現実なんだよね…これ」
少しうつ向く。やはり、遥もこれが夢という方に希望を持っていたらしい………優や遥だけではない、みんなそう思うだろう…こんな状況、受け入れられるわけがない

遥「…もしかしたら夢かなって思ったけど……そんなことはなかった…人がたくさん死んでることも………私、死んじゃうのかな…」

優「そんなことない。今僕等は、死なないためにこの体育館の出入口を塞いでいるんだろ?だったら、これ以上誰も死なないよ…」
遥を安心させるようなことを言う優。正直、2日目からはどうなるかはわからないけど……


遥「…そう…だよね…!死なないための行動なんだもん、みんな死なないために頑張ってる…なら、死なないよね!」
遥は元気を取り戻したみたいだ

遥「ありがと、相川君!」
優「どういたしまして」
何気なく後ろを見てみた。すると、そこには


























京也が起きていた

京也はニヤニヤと笑いながら、何かのジェスチャーをしてる。ちなみに、ジェスチャーの内容はこうである

京也『キスをしろ、キス!魚の方じゃねーぞ?今のお前なら、あの学年1の人気者の桜井遥を落とすことが可能だ!さぁ、早く!二人で濃厚なキ(ドガッ)ぶべらぁっ!?』

途中優に踵で蹴られる京也。流石に気づいた遥は京也を見て

遥「大丈夫!?片桐君!」
京也「…い……今…腹に「優」って書いてある奴に…踵で蹴られた……」
優「桜井さん、それは京也の夢の内容だから気にしなくてもいいよ?」
遥「え、そうなの?」
キョトンとしてる遥。優は、京也の近くに座り

優「ほら、京也。もう7時が来るよ。早く起きなよ」
自分の腕時計を見て時間を伝える。何気なく学校の時計と見比べると…

優「あれ、僕の時計の秒針がズレてる…少し早いなぁ……」
京也「おいおい、細かすぎだぞ優?よし、俺も他の奴起こしに行くかな〜!」
元気よく立ち上がって、少し近くにいる祐也を起こしに行く

京也「オイ飛び級生!起きねーとくすぐるぞー!」
祐也「…っぁ…!ちょ、やめっ…ははは、やめtははははははは!」
もう既にくすぐってる京也。それを見た遥はクスクスと笑った



















全員起きて、昨日みたいに置いてあった朝食を食べた後準備し始める

京也「今さらだけどよ、警察とかに電話した方がいいんじゃ…」
加奈子「しても無駄だろうね…」
京也「何でだよ?」

加奈子が京也の方を見て、話し始める

加奈子「この状況で、電話してない奴なんかいないわけないでしょ?学園ではこんなことが起きて、外には悲鳴とかは聞こえているはず……でも、誰も助けに来ないよね?」
京也「た、確かに………じゃあ、あれか?誰かが外には連絡も、声も聞こえないようにしてあるのか?」

加奈子「可能性は高いね。その誰かが、このゲームの主催者…」
扉を塞ぐ用の板を持ち

加奈子「まぁ、今はそんなことより出入り口を塞ぐのが先だよ。あの影みたいな奴等が、いつ現れるかわからないからね」

京也「お、おう。そうだな…」
京也も板を運ぶ。




体育館に運ぶと、皆は扉を塞いでいる。生徒会長も指示をしつつ塞いでいる

七瀬「ふぅ…疲れたわ〜…」
楓「先生、休まないでくださいよ。みんな働いてるんですよ?」
七瀬「だって、私力仕事苦手だし〜」
楓「あなたの弟さんも働いてるんですよ?姉である上先生なんですから、働かないと」
七瀬「みんな〜、頑張れ〜」
楓「はぁ…ダメだこの人……」
七瀬の様子を見れば、ため息をつく生徒会長。

渡辺「おーい、みんなー!武器になりそうな物持ってきたぜー!」

渡辺や他の男子生徒が、武器になりそうな物を体育館に置く。


渡辺「万が一侵入されたら、近づいてきたあの影をこれでガツンとやればいいだろ?まぁ、動かなくなってくれるのが一番だけどな」

京也「おぉ、そうだな!俺はどれにしようかな〜」
みんなが、渡辺達が持ってきた武器になりそうな物を選んでる


遥「…扉も塞いで、武器も持ってるんだから……大丈夫だよね?」
槍術部の槍を持ってる遥が、優の隣へ来て話す

優「うん、きっと大丈夫だよ。仮に扉が破られて入ってきても…全員でかかれば大丈夫」
笑みを浮かべてそう返す優。

遥「そうだよね!…………優君。」
優「…え……?」
遥が、優の下の名前を小さく言ったことが聞こえたらしく

遥「…!あっ、あ…ごめんなさい!」
自分でも少し無意識になっていたらしく、我に帰ったように少し顔を赤くして謝る

優「え、いや、だ、大丈夫だよ!うん!」
遥「い、いや、でも!」
優「き、気にしてないよ!全然!む、むしろ、その呼び方の方が…」
京也「おーい、優ー!木刀があったぜー!」
そんな会話をしていると、 京也が割って入る。

京也「木刀だぜ、木刀!何で学校にあるんだろうな?」
優「京也のバカー!!」
バキッ

京也「なんでっ!?」
急に優に殴られた京也。


楓「さぁ、もう扉を塞ぎ終わるわよ!」
最後の板を持ってる生徒会長が、みんなに呼び掛ける。みんなは集まって、最後の板で塞ぐのを見る……………そして、完全に扉を塞いだ。

楓「終わったわ!」
谷沢「やったー!!」
佐竹「これで進入されることはねぇー!!」
みんな歓喜の声をあげてる。もう死ぬことはない、誰も死ぬことはない…そういう喜びが溢れていた。

七瀬「やったね、祐ちゃん!」
祐也「うん…!」
加奈子「アンタ等、浮かれすぎだよ…」
京也「とか言ってるお前も、顔がにやけてるじゃねーか!」
加奈子「うるさい」
バキッ
京也「ぐっはぁ!?」
優、遥「あははは!」

渡辺の肩に誰かが手を置く。渡辺は

渡辺「やったな!もう死ぬことはないぜ!」
と、笑みを浮かべて振り返った
































つづく
15/06/20 15:03更新 / 青猫
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