連載小説
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焼きそば大戦争
キーンコーンカーンコーンとよくある感じの音が鳴り響き、午前の授業が終わる。
それと同時に多くの生徒が購買部に向かって走り出す。そう今日は1ヶ月に一回の焼きそばパンの販売の日なのだ。僕?ああ、僕は自分で弁当持って来てるから。うん、無駄な出費は家計に大ダメージが入るからなるべく自炊なんだよね。別に行列に並ぶのが恥ずかしい訳じゃありません。大事なことなのでもう一度、行列に並ぶのが恥ずかしいのではありません。マジで。
ということを周りに誰もいないことを確認し、割と大きめの声で喋る。つくづく思うけど僕ってマジチキン。というか周りから見たら相当痛い子。自覚症状があるから怖い。話を戻すが、まあ月一のチャンスを狙って全校で焼きそばパン争奪戦が始まる訳だ。実に醜い。もうなんか参加してもいない僕が勝ち組にすら思えるレベル。マジで。珍百景に応募できるね。そんな勇気ないけども。とか思いながらも弁当を食べていると男子生徒が戻って来た。その手にはパンはないようだ。フハハ、ザマァ、イカンイカン心の声が出てしまった。すると春人が教室へ戻ってきた。なんとその手には聖剣エクスカリバー「焼きそばパン」が握られている!春人は少しずつこちらへ近づいてくる。これなんてホラー映画?今まで見た何よりも怖いんすけども。「おい、悠介、焼きそばパン手に入れたぞー!」「あ、ぁぁ、うんん」春人さんマジパナイ、これがスクールカースト最上位の圧力というやつか。僕は重力が十倍近く跳ね上がったように感じる。
「よょよくそ、そのパンてでてにいれたぁねね」グワァ静まれ俺の口、すると春人が「実を言うとこれ工藤さんにもらったんだよねwハハハ」んだよ、このリア充、顔良くて、勉強できて、スポーツできて、ワキガとかそんな感じの弱点無いの?春人恐ろしい子。間を空けず、さらに春人さんは突っ込んでくる。「あのさ、二個も食べらんないからこれ食べない?」て、お前も持ってたのかよォォ。しかも明らかに自分で、買ったであろう方を俺に渡し、工藤さんのを自分が食べることで誰も傷つかず、みんなが幸せになれるように仕組んでやがった。もはやリア充を通り越して仏を感じさせるなぜだろうか、春人の後ろに千手観音像が見える。
「あ、ありがと」と受け取るが春人のことはこれからは春人様と呼ぶ事にしよう。


そんな昼休みで僕は尚更自分の平凡さを痛感した。
16/12/20 19:32更新 / さじまる
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