連載小説
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許されなかった罪の話
恋に落ちた瞬間、世界が色付いて見えるのなら、恋が冷めた瞬間、世界はどんな風に見えていたのか、忘れてしまった。


彼女が屋上にいた。

ここで言う彼女は she の方ではない。myhoneyの方の彼女だ。

「遅かったね。」

「ごめん。気づかなくて」

「そ」

彼女は屋上の端っこに並んだ柵によしかかっている。危ないのに。

手紙の内容が、俺の予想通りだとしたら、こいつは死ぬつもりだろう。

「死ぬのか?」

できるだけさりげなく尋ねて見た。

「うん。止めてくれる?」

「さあな。死にたいのか?」

「死にたいけど。怖いの」

「そっか。怖いなら、飛び降りれないんじゃないのか?」

「うん。だから私の事を押して。」

「やだよ。俺も怖いもん」

「そうだよね。」

「ほら、もう寝るぞ」

「うん。おやすみ」

いつも通り、こちらに向かって来ると思った。来なきゃダメだった。

それなのに彼女は。僕の彼女である彼女は、ゆっくりと飛び降りた。

柵と手が擦れる音に反応して僕は、

僕は駆け出した。

間に合わないって、きっとわかってなかった。こんなに後悔するって、思ってなかった。



この話は、ここで終わらない。

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