読切小説
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青猫「夏だし、ドッキリやろう。」








文「これまた急ですね?」
小説のタイトル欄を使ってドッキリ宣言をする青ジャージに、特にこれといったリアクションもせずそう返す鴉天狗。

青猫「でもさ、気にならない?うちのメンバーにホラー系のドッキリ仕掛けたらどういう反応するかさ。」
文「確かに…意外な反応をする方もいるかもしれませんね。…あ、もしそうなれば新聞のネタにできるかも…!」
青猫「そゆことよ!あ、その新聞私も買うわ!面白いのを頼むよ!」
文「わかりました、任せてください!」


突如、青猫の思い付きで始まってしまった夏のホラードッキリ企画。青猫の小説を読んでる人であれば、全然ホラーな展開にならないのは予想できているだろう!
ここで軽く、ドッキリの説明

1.部屋の電気を消して、数秒後急に電気が復活。

2.部屋の物が勝手に落ちる。(ツッコミ役のアリスさんの魔法で落とします。)

3.部屋の物が宙に浮く。(ツッコミ役のアリスさんが浮かせます。)

4.再び電気を消し、電気が復活するとめちゃくちゃ不気味なゾンビが部屋にいます。(やる気ないアリスさんが用意します。)







〜一人目 コトネ・ツチミカド〜

なんやかんやあって創造主になったお稲荷様。普段は化かして脅かす側だが、今回ばかりは脅かされる側!果たしてどうなるか!

コトネ「ん〜…次のお話はどうしょうかねぇ…」
控え室にて、原稿用紙とにらめっこしているコトネ。小説のネタに行き詰まっているようだ。

青猫「わぁ、今のコトネちゃんの状態すっごく共感できるわぁ…」
文「あなたは、一度指を走らせれば結構書けるでしょ…とりあえず、電気を消してみましょう!」
だらけきった猫を横目に、コトネの控え室の電気のみ消す。

コトネ「ん?」
すぐに狐火を出して、灯りを確保する。
コトネ「停電かぃ?……まぁいいや、直るのを待とうかねぇ。」
そう言って、狐火で灯しながら原稿用紙にペンを走らせる。

青猫「まぁ、普通こういう反応するよね…。でもまだ、軽いジャブに過ぎない!次だよ次!」
コトネ「あ、電気ついた。」
電気が復活すると、狐火を消して再び原稿用紙に向き合うコトネ。

文「では、アリスさんお願いします!」
通信機でアリスに連絡すると、アリスが魔法でコトネの控え室にあるペットボトルを落とす。



コトネ「…いや、ここはこうじゃないね…もっとこう、遠回しに…」
気づいていない様子。

青猫「…あれ、気づいてない?結構大きい音したよね…?」
文「アリスさん、そのままそのペットボトルを浮かせてみてください!」

アリスが先程落としたペットボトルを浮かせる。コトネも流石に気づき、ペットボトルを見る。
そしてそのペットボトルを掴み、中に入っているお茶を一口飲むと、机の上に置き原稿用紙に向き合う。

青猫「なんで飲むの!!なんで浮いてることに疑問を持たないの!!」
文「ですが、次は流石に反応するはずです!」
やる気ない方のアリスに連絡して、電気が消えたタイミングでゾンビを設置してもらう。

コトネ「また停電かぃ?調子悪いのかなぁ…。」
そう呟いた後、電気が点く。
コトネ「あ、ついた……ん?」
アリスが設置したゾンビに気づく。

青猫「よし気づいた!」
文「さぁ、そこで盛大なリアクションを!!」
二人がカメラ越しに、期待の眼差しを向ける……。










コトネ「…あぁ、そうだ!ここでゾンビを投下すればいいんだ!よしよし、アイデアが浮かんできた!!」

ガチャ


青猫「驚けよ!!」

コトネ「わぁ!?なにな

に!!?」


いきなり入室して全力ツッコミを繰り出す青猫に驚くコトネ。

青猫「ちがーう!今ので驚くのは違う!」
コトネ「え、なにが?なにがなんだぃ?いつもの二人(猫と鴉)もそろっちゃってさぁ」
文「えーっと、実は…」
コトネに事情を話す鴉こと文ちゃん。

コトネ「なるほどねぇ、ドッキリかぃ。言われてみれば、ドッキリみたいな現象が3つくらいあったような…」
文「あ、4つです。」
コトネ「え?そうなの?」
コトネが気づかなかっただけである。

コトネ「まぁ、この程度の脅かしじゃあ驚かないよぃ!はっh」

〜二人目 ベリアル〜
七つの大罪シリーズ傲慢の罪、大悪魔にして魔王である彼女。平たく言えば、めっちゃ強い人。果たして、この仕掛けられた数々のドッキリに驚くのか!


ベリアル「………」
何やら黙々と剣を作っている様子。峰の部分が燃える炎をイメージした装飾の黒い大剣である。

青猫「…あの剣、めっちゃ欲しいんだけど。」
文「確かに、あなたが好きそうな剣ですね…けど、貰ったところで剣に振り回されるのがオチでしょ。さぁ、まずは電気を切ってみましょう!」
ベリアルの控え室の電気が消える。

ベリアル「………」


青猫「…あれ、無反応!?」
文「気づいてないでしょうか?」
青猫「いや、普通気づくでしょ!だって電気消えてるんだよ!?」
電気をつけるが、やはり無反応である。

青猫「これ、浮かせたりゾンビを出しても気づかないかな…アリス!もう何か、ベリアルに直接物を落として!」
そう連絡すると、時計を浮かせてベリアルに落とす。当然浮かせたことにも無反応…気づいてるかどうかも不明である。

そして、落ちてきた時計がある程度距離を縮めた時…ベリアルが目の前の大剣を片手で持ち、落ちてきた時計を自分にぶつかる前に斬る。

ベリアル「…ふむ、まぁまぁじゃな。」


青猫「………」
文「………」
驚いて声もでなくなる二人。





ガチャ
青猫「ベーリーアールー!!」

ベリアル「やっぱり、お前等の仕業じゃったな。あと、ノックくらいせんか…」
ベリアルにドッキリであることを伝える。元からバレていたようだが…

文「どうしましょう、今のところターゲットが全然驚いてませんよ!これでは新聞のネタが!」
青猫「ていうか、うちのメンバー精神が強靭すぎない?」
↑生みの親

ベリアル「なんじゃ、困っているようじゃな?なら、ワシがいい奴を紹介してやろう…」
ベリアルに人を紹介してもらい、その人をターゲットにする。その人とは…













〜三人目 リリス〜
この小説初登場なため、軽く紹介!
ベリアルと同じく大悪魔をしており、ベリアルの見た目が13歳くらいに対してリリスは16歳程度!だが、ベリアルよりも年下らしい。
ネットアイドルとして活動しており、ファンが600万人以上いるという大人気のアイドル!果たして、ドッキリに驚いてくれるか!てか、驚いてくれ!!

文「まさか、ベリアルさんがリリスさんと知り合いだったとは…!」
青猫「ねぇ、そのリリスちゃんって何者なの?」
文「知らないんですか!今じゃ有名なネットアイドルですよ!」
青猫「んー…私、アイドルに興味ないからなぁ…」

そんな話をしていると、リリスの控え室の映像が映し出される。机の上にノートが置いてあり、ノートと向き合いながらペンでなにかを書いてる。

リリス「…狂乱の鎮魂歌(レクイエム)…いいわね、これ。次のライブのタイトルにしようかしら」

青猫「なんか、中二っぽいね?格好も相まって…ゴスパンクって言うんだっけ?」
文「そこがいいんじゃないですか!個人的に取材したいところですが、今はドッキリの反応を見てみましょうか…よし、まずは消灯から!」
青猫「驚くかなぁ…気が強そうだし…」

リリスの控え室の電気が消える。
リリス「うわぁぁ!!?なになになに!?」

青猫「お、いいリアクション!」
文「これは…!期待大です!」
電気が点く

リリス「あ……」
キョロキョロと周りを見回して
リリス「これはあれね、アタシを襲う魔物の仕業ね…そう思えば怖くないわね、うん
青猫「やべぇ、この娘かわいい。」
文「アリスさん、物を落としてみてください!」
アリスに連絡して、アリスがリリスの部屋の時計を落として見せる。

リリス「わぁぁぁぁあ!?!?!?」
盛大に驚くリリス。だが、すぐに冷静になり

リリス「こ、これはあれね!アタシを狙ってる魔導師の仕業ね!別に怖がることは……」

ポケットからスマホを取りだし、耳に当てる。
青猫「あれ、誰かに電話してる?」


ベリアル「なんじゃ?」
電話の相手はベリアルらしい。
リリス「いや、あの…アンタがアタシの声を聞きたがってると思って、かけてあげただけよ。」
青猫「あー怖かったから友達に電話かけたんだね。」

ベリアル「なんかあったのか?」
リリス「いえ?別に、なにも?」
ちょっと声がうわずってるリリス。
ベリアル「そうか、今武器作りをしておるから後で電話かけてくれ。」
リリス「え、ちょっと待って」
ベリアル「切るぞー。」
リリス「え、ちょっと待って!切らないで!待って、一生のお願いだから!」


ツー…ツー…ツー………


リリス「…ベリアル嫌い。」
青猫「やべぇ、秒でこの娘のファンになりそう。」
文「流石に、ゾンビとかは可愛そうですし…もうネタバラしに行きましょう。」

リリス「(グスッ)もうやだぁ…絶対夜寝れない……。」
青猫「急に罪悪感が…早く行こう…」



リリスが涙目でうずくまっている中、ガチャッとドアノブを捻る音が聞こえる。
体をビクッとさせ、恐る恐る扉をの方を向く。



ガチャ ガチャ

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

リリス「こ、今度はなに!?もうやだぁ!!」
悲鳴をあげながら、扉とは反対方向の部屋の隅へ逃げ、怯えた様子で扉を見ており。




青猫「あれ?なんかこの扉立て付け悪いんだけど。全然開かない。」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

文「…多分、中でエラいことになってそうですけど…。」
ガチャッ

青猫「あ、開いた。じゃあ、いくよ?」
ドッキリ大成功の看板を持つ文に確認をとり、ゆっくり扉を開けていく。リリスにとってはホラーでしかない状況だった。


青猫「ドッキリ大成功ー!いや〜、ごめんね〜!怖がらせちゃって!」
と、二人とも笑顔で部屋の隅にいるリリスに向かって話す…が、リリスの反応がない。

文「あれ、リリスさん?」
青猫が近づいて、リリスの顔を覗く

青猫「…気絶してる。」
















アリス「…はぁ。全く、あの二人は…。」
呆れた顔をしながら猫と鴉を見ている。
アリス「…それはそうと…。」
アリス(怠惰)「…ZZzzz…」
アリス「この子どうしよ…。」



おわり

21/08/15 16:36更新 / 青猫

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