読切小説
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寂し仮り夜


計り知れない僕の心の空虚さにポツリと雨が降り始めた。2年ぶりの雨に、僕は 。




最上階から見下ろす。


弱い風が吹く。開けた窓から冷たい風が入り、出せれた課題のプリントがバラバラに飛ぶ。

その1つを拾い上げ、紙飛行機に見立て飛ばす。その紙を咥えて飛び去る鳥が見えて、窓から身を乗り出す。

キレイな夜空だ。星が降ってくる。少し離れた所で同じ事をやっている誰かがいる。

誰だろう。そんなに身を乗り出して、危ないのに、僕の動きと連動して動く誰かは哀しそうで、右目から涙を流していた。

降り続ける星と僕の雨と誰かの雨で僕の心は満ちていく。

安心したその後、少し離れた窓に映る僕と僕がさらに身を乗り出した。

それを見ていたかのように。

本当知らない誰かが、長くて綺麗な髪をしたその誰かが、僕を抱き締める。

僕は部屋に戻される。散らばった紙の上に戻される。君に戻される。

知らない誰かは僕を抱き締め続けている。



風が吹く。

星が降る。

月が僕に付き纏う。

僕の涙は止まない。

知らない誰かは言った。「危ないよ」

知らない誰かは僕を強く抱き締めて、そしてキスをした。
覚えのあるその感触に 、僕の涙は溢れ出した。

「ごめんね」


ごめんね。

もう終わらなきゃいけないんだ。僕は、君がいなきゃ、駄目なのに。

僕は彼女を抱き締めて、空を飛んだ。

















………ぐしゃ。
17/03/02 19:59更新 / 浮空

■作者メッセージ
男の子は自殺をしようと、窓から飛び降りようとしました。
それを知らせるために男の子はメッセージカードを彼女に飛ばします。
それをみて、向かいの家の彼女はそれを止めるために、建物から建物に飛び移りました。
それで二人は倒れて、男の子は大好きな彼女に戸惑いますが、
二人で死ねば良いと思い、二人は死にました。
彼女はそんな事、望んでませんでした。

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