連載小説
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最終話

天使となったカムイから逃げて、どれくらいの時間が過ぎたのだろう……気がつくと、周りは暗くなっていた。ノノはもう泣き止んだはいるが、ずっと暗い顔で俯いている。無理もない、そう簡単に立ち直れることではないからだ…
ベル「……」
ノノの人差し指から目を出して、周りを見る。天使と悪魔がいないか確認するためだ…
今の所どちらの気配もない。気配がないとわかれば、ノノの方を向く。
ベル「ノノ…」
ノノ「………」
聞こえてはいるが、返事がない。だがベルは、話し続ける。
ベル「これからどうするのだ?」
ノノ「…」
ベル「カムイ殿が天使になってしまった…恐らくは、我等の住処を監視下に置かれるだろう。場所を移動する必要がある。」
ノノ「…どこに……?」
暗い顔のまま、ベルを見ずに俯いた状態で口を開く。声色も、元気がない
ベル「ともかく、隣町の宿屋まで移動しよう。今から住処に戻り、持っていけるだけ持っていく必要がある。」
ノノ「……」
そこからまた、黙ってしまう

ベル「…辛い気持ちはわかる。今まで住んでいた場所を離れ、味方…いや、恩人に狙われるのだ。だが…もし…」
一息置いて、また話を続ける。
ベル「もし…カムイ殿を元に戻す方法があるなら、君はどうする?」
ノノ「…!」
ノノは顔を上げる

ベル「奴ら…天使が人間を天使にできるのなら、その逆も可能のはずだ。カムイ殿を元に戻せるなら…君はどうする?」
ノノ「…カムイ……」
ノノは、カムイと初めて会った時のことを思い出していた…


































おばさん「ありがとぉ、カムイちゃん!またよろしくね?」
カムイ「はい、お任せください!」
仕事を終えたカムイは、依頼人であるおばさんに一礼してその場を去った。
家に帰る最中…

カムイ「今日も1日大変だったなぁ……ん?」
隣の草むらから物音が聞こえたため、立ち止まって草むらをじっと見ている
カムイ「……」

すると、その草むらから…


















ノノ「…」
ノノが。

カムイ「…お嬢ちゃん?どうしたの?」
カムイは近づいて、目線を合わせるようにしゃがんで問いかける。
ノノ「……」
ノノはじっとカムイを見てるだけで、何も答えない。
カムイ「えっと…お母さんは?もしかして、迷子かな?」
ノノ「……いない…」
カムイ「え…?」

とりあえず、自分の家にノノを連れて行くカムイ。家の中に入り、ノノに椅子に座るように促して、お茶やお菓子などを準備している。

カムイ「えっと、ノノちゃん…だっけ?どこから来たかとか、わかる?」
ノノ「……」
わからないからか、それとも話したくないからかはわからないが、話さない。

カムイ「参ったな…どうしよ……」
「大丈夫だ、その点は我が説明しよう」
カムイ「え?」
ノノの方から男性の声が聞こえたため、ノノを見る。そこには、ノノの人差し指から黒い目が生えており、こちらをじっと見ている。

カムイ「わっ!?」
ベル「驚かせてすまない、我はベルフェゴール。訳あってノノの体に宿っている悪魔だ。」
カムイ「え?え…どういう…」
ベル「まぁ、順をおって説明しよう。」

ベルはカムイにこれまであったことを全て話す。













カムイ「なるほど、そういうことだったのか…それにしても、子供達を実験台にしてたなんて、許せないな…」
ベル「実験材料だった我が言うのもあれだが、同意見だ。」
カムイ「それで、2人は行くあてがないんだよね?だったら、うちに住みなよ。幸い、この家には俺しかいないし」
ノノ「え…」
ベル「いいのか?」
驚いてる様子でカムイを見る2人。正直、受け入れてもらえないと思っていたからだろう

カムイ「もちろんいいよ、俺困ってる人を見過ごせないからな…大丈夫、ベルフェゴールのことは周りにバレないようにするから」
ベル「感謝する、カムイ殿…」
カムイは2人に近づく。笑顔で手を差し伸べ

カムイ「よろしくな、2人とも」
ベル「あぁ、これからお世話になる。」
ノノ「…うん、よろしく…」


















ノノ「…」
ここまでやってこれたのは、受け入れてくれたカムイのおかげ。カムイは、家族同然の存在…大切な人…

ノノ「…元に戻す。」
顔を上げて、真剣な顔で答える。
ノノ「カムイは、私達の大切な存在だよ…元に戻せるなら、なんだってする…!」
ベル「…よく言った、では行こう…カムイ殿にそんなことをした、天使に刃を突き立てに!」
ノノ「うん!!」
ノノは立ち上がって、走る…








つづく
17/03/02 17:46更新 / 青猫
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■作者メッセージ
どうも、青猫です!#コンパスやってます!けど、弱いです!←
いやぁ、連載止まってたんで終わらせました!忙しくてなかなか更新できませんでしたけど…
あ、このシリーズの続きはいつか書きます!お楽しみに!

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