読切小説
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浮き夢物語
ある夜のこと、それは夢なのかもしれない、妄想かもしれない、でも僕は見たんだ。

窓が眩しく光った。いや、僕の瞼の裏が紅くなって目を開くと、窓があいて、

美しく綺麗で優しそうで嬉しそうで悲しそうで、僕の事を分かっていそうで。そんな顔をしたお姫様みたいな貴女が、僕に手を差しのべていた。

僕は寝ぼけていたし、寝惚けていたので、貴女の手を取った。

そのまま手を引かれて、空を飛んでいる。

今考えると、これは夢だろう。でも夢というには、鮮明に聡明に覚えている。

普段の事より覚えている。

あの嬉しそうな顔を。


理解者が欲しかったんだろう。分かって欲しかったんだろう。

僕は助けを求めているんだって。誰か連れていってよって。

そんな僕の思考が見せてくれた、魅せてくれた貴女を僕は未だに覚えている。



その夢を見るために、今日も眠りにつく。

そんな、現実逃避で。夢という夢に逃げる。

好きな人など、現実にいないと、嘘をつく。

頭の整理をする。










目を覚ます。




あの貴女が見えた。(気がして)




僕は、

窓から

勢いよく飛び出した。

君は

笑っていた。







16/12/26 22:10更新 / 浮空

■作者メッセージ
病んでないです。元気です。

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