連載小説
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第3話「魔王は勇者が来るまでずっと城で待ってるから、なるべく早く行ってあげて」

人が賑わう町、マグアヌにて。その町の中にある、パテマ達がいるギルド。仕事が来てないのか、また来客用ソファーでごろ寝をしているパテマ。

パテマ「あー…暇………すっごく暇…」
前記でわかりきってることだが、果てしなく暇そうなパテマ。アルベルトがパテマに近づき、いつものように
アルベルト「パテマさん、いつも言ってますがそれは来客用ですよ。寝転がるのはやめてください。」
パテマ「パテマさんは現在、すっごく暇しております。」
アルベルト「見ればわかります。」
ソファーから起き上がって、すごく礼儀正しいような声を出して話したパテマに、礼儀正しいような声で返したアルベルト。

パテマ「あー、暇。すーっごい暇。…あ、そうだ!暇潰しに世界征服しよっかな〜」
アルベルト「どんな暇潰しですか!世界征服は暇潰しでするようなことではありません!」
パテマの(頭が)おかしい発言に、律儀にツッコミを入れるアルベルト。

パテマ「じゃあ、魔王討伐しちゃう!」
アルベルト「それも暇潰しじゃありませんから!!」

パテマ「ほらほらー!魔王カモーン!!パテマがワンパンKOしてやるー!!」


ピーンポーン

それを叫んだ直後に、呼び鈴が鳴る。

ユミル「はーい」
今までどこにいたのかさっぱりわからない竜少年が、玄関へ。

玄関を開ければ、黒いローブを被った二人がいた。
「あの、依頼に来ました…」
と、気が弱そうな女性の声が聞こえた。その声の人物が、ローブを取る。

ユミル「…お前、その角…」
その少女には、角が生えていた。
「はい…一応私…魔王をやってまして……」
ユミルとその後ろにいた魚人とメガネが、固まる。
















アルベルト「魔王本当に来たァァァァァァァァッ!!!」








中に入ってもらい、来客用ソファーに座らせて、三人は二人に向かい合うようにソファーに座る。



「改めて、ご紹介します。」
魔王と一緒にいた部下らしき人物が、話す

「こちらは、大魔王「ユネス」様。世間で言われている「魔王」という存在です。そして、私はユネス様の配下の「ヴァン」です。」
部下であるヴァンが、うつむいて三人に目を合わせてない魔王と自分の紹介をする。このとき、三人が思ったことは


アルベルトo0(本当に魔王が来てしまうとは…パテマさんは、フラグ建築士特級でしょうか…!?)
パテマo0(ワンパンKO…余裕ね。パテマより少し小さいし、弱そうだし)
ユミルo0(…ZZzzz…)

と。

アルベルト「えっと…大丈夫なんですか?魔王様でしょう?」
ヴァン「大丈夫です。先程のように、バレないような服装をしていたので」
いや、逆に怪しいでしょ…と思うが、口に出さないアルベルトであった。

ユミル「で?依頼はなんなの?もしかして、勇者を殺せとか?」
ヴァン「いえ、そうではないです。実は…ユネス様についての依頼です。」
アルベルト「ユネスさんの?」
ヴァンは、依頼内容を踏まえて話し始める


ヴァン「見ての通り、魔王様にはあまり魔王の素質がありません…気が弱いのもありますが、優しすぎるのもあり、それに加えて人見知り…配下の者達の目の前に出ることはできないのです…」

パテマ「ぼた餅よりおはぎの方がいいな〜」
アルベルト「パテマさん黙ってください」

ヴァン「終いには配下に「ユネス様マジ天使だわ…」「将来ユネス様と結婚しようかな」と言われる始末……そこで、あなた方にユネス様を、魔王らしくしていただきたいのです…よろしくお願いします…」
ユネス「よ、よろしく…お願い…します………」
二人とも、深々と頭を下げた。


アルベルト「どうしますか、パテマさん……この依頼を達成すれば、世界の危機になるのでは…」
アルベルトが小声でパテマに話す
パテマ「大丈夫だって、見たところすごいコミュ障並びに引っ込み思案並びに箱入り感があるから、そこまで魔王っぽくならないって。ほら、コ◯ンでも「コイツ明らかに犯人だろ」って顔してる人がよくいるでしょ?でも結局犯人じゃなくて、いい人っていうパターンもあるから、そういうのにしたらいいから〜」
アルベルト「パテマさん、声大きいです」
パテマ「え!?」
二人を見ると、ユネスは不安そうな表情をしてたが目が合ったため顔を逸らし、ヴァンにいたってはこちらを睨んでます。

パテマ「だ、大丈夫だよ!パテマ達は、引き受けた仕事は完璧に達成するから!タイタニック号に乗ったつもりでいてよ!」
アルベルト「パテマさん、それ沈みます。」
パテマ「タイタニック号は大きいから沈まないの!本当に完璧にやるから、タイタニック号みたいな泥舟に乗ったつもりでいてよ!」
アルベルト「それ本格的に沈みます。」


















アルベルト「あとユミル君。いい加減起きてください。」






























パテマ「さてと、まずは何したらいいかなぁ…」
五人は別の部屋に移動して、まず何をしたらいいかを考える。そこで、アルベルトが提案する。

アルベルト「ここは、悪役の方の真似をしたらいいのではないですか?そういった台詞が言えるようになれば、自然と気持ちも大きくなるかもしれません」
ヴァン「なるほど、確かにそうかもしれません…」

ユミル「コイツ等、しゃべり方似てるな…」
パテマ「よし、そうと決まれば!」
パテマはユネスの前に来る。ユネスは少し怯えた目をしている…
パテマ「大丈夫大丈夫、お姉ちゃんの真似したらいいだけだから。そしたら立派な魔王になれるから、ねぇ?」
パテマは現在、何故か怖い顔をしております。

ユネス「ひぃぃぃ…!」
アルベルト「パテマさんの方が魔王らしく見えるのは、気のせいでしょうか…」
パテマ「じゃあ試しに、「イー」って言ってみて?「イー」って」
アルベルト「なんでそんな雑魚が言う台詞を言わせようとしてるんですか!」
今日もこのメガネは突っ込んでばかりです。

ユミル「もっと悪いやつの台詞を言わせろよ。「命乞いをしろ、3分間待ってやる」とか。」
パテマ「あ、それいいね!じゃあ試しに言ってみて?パテマに向かって」

ユネス「ぇ……えっと………」
ヴァン「頑張ってください、ユネス様…!」
ユネスの側について、応援の言葉を言うヴァン。ユネスも、なんとか言おうと頑張っている様子…

ユネス「さ…」
パテマ「…」
ユネス「さ……さ…!」


















ユネス「3分間待ってくださいっ!」

アルベルト「なんでだァァァァァァッ!!」

ユネスの予想外な発言にツッコミを入れたアルベルト。まだアルベルトのバトルフェイズは終了してないぜ!

アルベルト「なんでこっちが待つんですか!魔王様の方が命乞いしてどうするんですかァ!!」
ユネス「ご、ごめんなさいぃ…!」

パテマ「あー、アルベルトが泣かしたー。ユネスちゃん泣かしたー。」
アルベルト「いや、泣いてないでしょ!…多分」
魔王様は、涙目です。

ユミル「まったく、バカなことやってる場合じゃないだろ。ユネス、気にせずもう一回だ」
ユネス「は…はぃ……」
もう一度パテマに向き直るが、うつ向いてる。

ヴァン「魔王様、相手の顔を見なくては…」
ユミル「いや、一つ一つ確実にやっていった方がいいよ。焦らない方がいい」
ヴァン「確かに…そうですね」
ヴァンはこのとき、ユミルだけはまともだと安心していた。

ユネス「さ…



























3分間待ちますから、命乞いしてくださいっ!」

ヴァン「おぉ、先程より進歩しています!」
アルベルト「ですが、まだ受け身です…!」

パテマ「やだ。」
ユネス「え…!?」
アルベルト「あっさり断ったよ!!2秒で答え出したよ!!」

ユミル「もっと大きな声を出せ。それでも少しは変わるはずだ」
ユネス「ぐすっ…はぃ………」

もう一度向き直り





















ユネス「3分間待ってくださいっ!」

アルベルト「振り出しに戻ったァァァァァァッ!!」



果たしてマジ天使な魔王様は、立派な魔王様になれるのか!?


じ、次回まで…3分間、待ってくださいっ!
16/05/08 00:40更新 / 青猫
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