連載小説
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第3話














………………………

…………あれ………ここは…?


気がつくと私は、真っ白な場所にいた。目の前に広がるのは、白一色………床もどこまでが床か、壁があるのか………それすらもわからない。

ここ、どこなんだろ…?何で、ここにいるんだろ…?
少し意識はぼんやりしている…ここがどこで、何故ここにいるのかを考える。思い返して………昨日は紅葉と散歩に出掛けて、紅葉の思い出の場所に行って………その後は、普通に、いつも通りに過ごしていた。

椿「…ダメだ…なにも思い出せない。どこなんだろ……静音と紅葉も、ここにいるのかな?」
もしかしたら、二人がいるかもしれない。そう思った椿は、二人を探そうとした……
その時、目の前の白い空間の真ん中に…黒い点みたいなものが現れる。
椿「…?なんだろ、あれ……?」
その黒い点は、白い空間にどんどん広がっていく……
椿「あ、あれ!?なにこれ!?……ん?」
白い空間のほとんどに広がった黒い点…もはや点ではないが、それをよく見ると……下半分が明るい。その明るい部分が、上に上がっていく……そこに見えたのは……





椿「…家が…燃えてる……!?」
そこには、少し古い見た目の建物が、燃えてる光景が見えた。炎によって、家の所々が焼けて、落ちていく…
よく見ると、その家の前に……二人の人影が。炎の影でよくわからないが……一人は椿と同じくらいの身長、もう一人は子供。
すると、急に視点が変わる。目の前の燃えてる家が、すごく近くに見える……家から、その子供の方を見る。恐らく椿と同じくらいの身長の人視点なのだろう。
その子供は、こちらをじっと見ている………

椿「誰なんだろ……この子…」
その時、椿の視界が少しずつ暗くなっていく………
もう、完全に真っ黒になってしまった………目を開けると、見慣れた天井が見える…

椿「私の部屋……?」
体を起こして、周りを見る。いつものベッドで寝ていて、見慣れた部屋……そう、椿の部屋だ。カーテンが少し明るい……時計を見ると、朝の六時を指していた。
椿「…さっきのは……夢…?」








着替えて、一階に降りる。まだ誰も起きてきてないようだ……
椿は、朝御飯の支度をし始める。

六時半に、玄関が開く音が聞こえてこちらに近づいてくる足音が聞こえる。椿はできた朝御飯を皿に移している作業を止めて、その方を見る

静音「あら、椿。おはよう」
椿「あ、静音。おはよ〜」
入ってきたのは、静音だ。この時間に、何処へ行っていたのだろうと思い、聞いてみる
椿「何処行ってたの??朝早くに」
静音「ん?散歩よ」
にこりと笑って、散歩に行ってたと答える静音。椅子に座って、何かの紙を机の上に置く。椿は、もう朝食を皿に盛り付けてる。
椿「それ、何?」
静音「これは……鴉天狗から貰った物よ。朝早くから、これを町中に貼ったり、会った人に渡してたりしてたわ。」
静音はその紙のことを簡単に説明して、広げた。そこには「緊急御用」と大きく書かれており、その下に「お尋ね者の捜索、求む」と、人相書きが。人相書きは、長髪で椿と同じくらいの容姿だと思われる顔…そういう女性が書かれていた。

椿「お尋ね者…ということは、犯罪者なのかな…?なにしたんだろ、この人…」
静音「それはわからないわ…でも、この人鴉天狗ね」
人相書きと説明を見て、鴉天狗だと言う静音。鴉天狗同士で…?相当なことをしたのだろうか……
椿「ねぇ、鴉天狗って……何やってる人達なの?」
人相書きを元あったように丸めて、適当な場所に置きに行く静音に問いかける。戻ってきた静音が、答えた……

静音「…首切り役人よ」
椿「…え!?く、首切り!?」
鴉天狗達が首切り役人だと知って、驚くと同時に少し恐がっている様子の椿。
静音「いつも、私達が捕まえた人達を、閻魔様のところへ連れていくでしょ?閻魔様の判決で、死刑を受けた人が、鴉天狗のところへ連れていかれて、斬られるのよ。」
椿「そ…そうなんだ………」
朝食をテーブルに運びながら、恐がっている様子で返事した。そうしていると、紅葉が起きてくる。

紅葉「おはよーッス……」
まだ眠そうで、目を擦りながらこちらに来ている。
静音「あら、紅葉。おはよう」
椿「おはよう、紅葉!もう朝御飯できてるよ〜」


なんだか、変な夢も見ちゃったし…いろいろ聞いたけど……それでも、いつもと変わらない日常が、続いていく。三人で、いつまでも平和に暮らしていける……何故か知らないけど、そう思った。きっとそれは、実現される……





























はずだった…



























ある山奥にて……スキマが現れる。そこから、複数の妖怪、妖精、人間が現れた。

「…着いたわ、ここよ。」
スキマが閉じて、そのスキマを操っていた人物がみんなに話す
「なんだか、私達の場所とあまり変わらないわね…」
「ここから探し出すのは、少々骨が折れますね…」

「…構わないわ」
少し前に出る、緑髪の女性
「何年かかろうとも、必ず見つけ出す……絶対連れ戻して見せるわ…」






















幽香「椿……」







現在ノ修復率……12%………


つづく
16/03/06 17:57更新 / 青猫
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