連載小説
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第11話『己の「正義」のために』



ザックとの戦闘が続き、こちらも向こうも傷だらけで立っている。戦いに集中して、お互いの仲間が町から出たことなんて知らない。目の前の"獲物"を狩ることに…
実力はほとんど一緒…だが、互いに絶対負けたくない戦い…一歩も退いてはいけない、退いたら負けていることを認めてしまうからだ

ミミ「はぁ……はぁ………」
ナイフを構える…向こうも大剣を構えて、睨み合いが続く……
集中している……荒い呼吸も、周りの音も聞こえないくらい………相手の靴が地面に擦れる音だけが聞こえる…


ミミ「…………」
ザック「…………」

ジリ………



ミミ「…………」
ジリ…


ミミ「……っ!」
次に擦れる音がした瞬間、手に持っている複数のナイフを相手目掛けて投げる。ナイフは真っ直ぐに、相手に向かって飛んでいく。
ザック「!!」
投げるのを見た瞬間、弾く体勢をとる。相手の大剣が届く範囲にナイフが入れば、大剣で弾かれる。そしてそのまま、こちらに向かって走ってくる。

ミミ「…!」
再びナイフを投げようとしたが、もう手持ちのナイフが少なくなっていることに気づく。投げるのはやめて、ナイフを一本持って接近戦に持ち込んで、相手の攻撃をかわして深い一撃を入れてからナイフを回収すると考える。

向こうはこっちよりリーチが長い上、力もかなりある……だけどあの剣、そんなに速く攻撃は出来ない…!最初の一発さえかわせば、こっちが有利になる!

考えをまとめ、こちらに走ってくる相手を見て、攻撃のタイミングを見る。
大剣を右手で持ってる……だとすれば、右から左に横切り、もしくは斜め……縦の可能性は低いけど、あたしを切る直前にわかる…!

互いの距離がもう少しで、相手の大剣に届く距離まで縮まろうとしている。ザックはこの時、左手でも大剣を持って、右下に少し体制を落とす。

きた…!多分右下から左上へ斜めに切る…!なら相手から見て、左下に避けて攻撃すれば…!


そして相手は、ミミの読み通りに斜めに攻撃した。ミミはその攻撃をかわして、横を通過すると同時に相手の横腹をナイフで切った

ザック「ぐっ…!?」
少し浅かった…でも大丈夫、すぐに拾えば問題ない…!すぐには反撃できないはず!
命中せず地に落ちたナイフ、相手に命中して抜いたナイフ等が、床にある。ミミは急いで拾えるだけ拾って、相手から距離をおこうとした……







ザック「待ってたぜ、この時をなぁっ!!」
いつの間にか相手は目の前にいて、大剣を振り下ろしてきた。かわそうとしたが、間に合わず命中…

ミミ「くぁ…っ!」
斬られた肉片は飛び散り、斬られたところからは血が出て、ザックや床に散る。ミミはそのまま倒れ、血が流れ出る…

ザック「お前、手持ちのナイフが少なくなれば回収する…さっきの攻撃には驚いたが、大したことねぇ。回収するときは隙だらけ、だからずっと回収する時を待っていた…!」
ミミ「くぅ…!」
起き上がろうとする…が、ザックが左足で先ほど斬ったところを踏みつける
ミミ「ああぁぁぁっ!!」
ミミは悲鳴をあげ、さらに出血する…

ザック「てめぇも、終わりだな……なんで傭兵に恨み持ってんのか知らねーけど、それも終わりだ……」
その言葉を聞けば、自分の憧れだった存在…その人の顔が映る……
あの人ができなかったこと…あたしが代わりにやろうとしてたけど…それももう…終わり…?

ザック「じゃあ…死ね」
大剣を構える…
そんな……ここで終わって………























終わってたまるかぁっ!!

近くにあるナイフを手にとって、自分を踏みつけている足を斬った
ザック「ぐっ!?」
足を離したため、ミミは立ち上がってナイフを一本とる。
ミミ「終わらないよ…終わるのは…お前だぁっ!!」
そのナイフを相手に突き刺した。
ザック「ぐ…ぁ…!!」
ザックに腹部を蹴られ、ナイフも抜けてミミは離れる

ザック「…まだそんな力…残してやがったか…」
互いに武器を構える……そして、同時に飛び出し

ミミ「はあぁぁぁぁぁっ!!!」
ザック「うおぉぉぉぉぉっ!!!」






同時に攻撃した…
互いに通りすぎて、背を向けた状態で止まる

ミミ「…………」
ザック「…………」




ドサッ












ミミはその場に倒れた…

つづく
16/01/25 23:53更新 / 青猫
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