連載小説
[TOP][目次]
第2話『盗む理由』
町で傭兵を倒したミミは、自分のアジトの前まで帰ってきていた。
ミミ「ただいま〜、二人共帰ってる?」
イリア「あ、ミミ!」
クライヴ「無事に帰ってきたか!」
二人は立ち上がって、ミミの側に行く。

ミミ「当たり前だよ、あたしがあんなのに負けるわけないよ」
得意気な顔をしてそう言った。いつも傭兵との戦いで、どんな人数が相手でも無傷で帰ってくるのがミミのすごいところだ。

ミミ「それより、盗んだ物は分けられた?」
クライヴ「おう!いつでも持っていけるぜ」
クライヴはニッと笑って、袋の中に入った宝や金を見せる。
ミミ「じゃあ、早速届けにいこう!」
イリア「うん!」
三人は袋を持って、アジトから出た。


人気のない山道を通る。こんな袋を持って町の近くの道を通れば、怪しまれるからだ。この山道は昔、商人が町に行くために使っていた。が、道が崩れてしまったため誰も通らなくなってしまった。ミミ達は、その山道の通れる道を見つけて、いつもそこを通っている。
三人は山道から普通の道へ。

イリア「早く届けないとね…」
ミミ「待ってるからね…急ごう」
三人は、ある町へ向かった
その町に到着する。その町は活気がなく、静寂だ…店らしき建物はあるが、すべて開いていない…

クライヴ「相変わらずだな…」
ミミ「大丈夫だよ、今日まで生きていけるくらいのお金はあるはずだから…それに、少しでも進展できるようにたくさん盗ってきたでしょ?すぐに活気溢れる町になるよ…ほら、あの家だって、この間まで穴空いてたけど補強してあるでしょ?」
近くの建物を指す。確かに前まで、穴が開いていた。壁が脆くなったのだろうと思う…

イリア「そうだよね…じゃあ、早く渡そう」
三人は、町の奥に進んでいった。


奥に進み、建物の中に入る。その中には、人が集まっていた。子供から大人、いろんな人がいる。この町の人達だ

ミミ「こんにちは〜」
町長「おぉ…盗賊の皆さん…!」
ミミの声を聞くと、そこにいる人達全員明るい顔をして振り返る。

クライヴ「みんな、前より元気っぽいな!」
イリア「よかった…!」
ミミ「はい、資金持ってきたよ!あと少ないけど、食料もね」
宝や資金は入った袋、食料が入った袋をその建物の中の机の上に置く。

町長「本当に、ありがとうございます……」
ミミ「いいよいいよ、あたし等困ってる人は見過ごせないからね」
深々と頭を下げる町長に、笑って「頭あげてよ〜」と言うミミ









ミミ達から貰った資金を建物の修復にあてたり、住民全員に分けたりしている。前までは資金を町長が預かって、食料などを買ったりして共有していたが、ここまで余裕が出てきたとわかると笑みを浮かべるミミ。

「ねぇねぇ、お姉ちゃん」
ミミ「ん?」
ミミのローブの端を軽く引っ張られ、その声がした方を向く。そこには、小さい女の子がいた

ミミ「どうしたの?」
ミミは目線を合わせるために、しゃがむ
子供「お姉ちゃん盗賊でしょ?なんで、盗んだ物を私達にくれるの?」
コテンと首をかしげる子供。するとミミは、フッと笑い
ミミ「それはね、お姉ちゃん達は正義の盗賊だからだよ!」
と言った。すると子供は

子供「かっこいい〜!私もお姉ちゃんみたいになりたい!」
と、目を輝かせて言った。
ミミ「なれるよ、きっと。あたしだって昔、君みたいに目標にしてた人がいたもん」
子供「そうなの?どんな人なの?」
ミミ「んー…貧しい生活をしてる人に、貴族達から盗んだ宝とかをあげたりしてた…優しくてかっこいい、正義の盗賊だね」
子供「へぇ…今のお姉ちゃんみたいな人なんだね?」
ミミ「今のあたし、かぁ……」
その目標にしてた人の後ろ姿が、一瞬頭に浮かんだ。ずっと目標にしてた人…確かに、やってることは一緒かもしれない。でも、ある行動を見て…自分はその人と同じことをしてる存在…と、言えないと思った。

子供「…お姉ちゃん?」
ずっと黙ったままで、何か考えてる様子のミミの顔を覗く

ミミ「え?あ…うん。多分、今のあたしに近いかもしれないね、ははは」
と、苦笑しながら言った。

つづく
15/08/08 11:06更新 / 青猫
前へ 次へ

TOP | RSS | 感想 | 目次

まろやか投稿小説 Ver1.53c