いきなりだが、俺の姉ちゃんは小説家だ。
しかも、中学からデビューしていて今では人気小説家となってる。俺はそんな姉を誇らしく思う。誇らしく思うが、みんなには姉ちゃんが小説家ということは明かしてない。姉はそういうのを嫌うからだ。だが、俺も1ファンとして明かしたくないという意思もある
俺と姉は2人暮らしだ。別に親が死んだとかじゃないぞ?仕送りもらってるし。
姉が受けた学校の都合で引っ越すことになった。俺も姉に誘われてついていった感じだ
昔から姉は、面倒見がよくて料理の腕もいい、それにモテるらしい。
まぁ、俺がこうやって長々話していることでわかると思うが、俺は姉を尊敬してる。でも姉は……
莉紗「ねぇねぇ和也、頼みたいことがあるんだけど…」
っと、噂をすればなんとやらだ。姉の登場だ
和也「なんだ、姉ちゃん?」
莉紗「あのさぁ…」
あ、さっき言いそびれたな。いろいろ完璧な要素を持ち合わせている姉だが、もちろん欠点もある。それは………
莉紗「ちょっと、血出してくれない?」
変な人と言うことである。
第1話「姉と小説」
和也「…はぁ!?何でだよ、出さねーよ!」
莉紗「え〜!いいじゃん、減るものじゃないし!」
和也「減るよ俺の血が!!」
和也の隣に座って、和也の左肩を掴んでユッサユッサと揺らす莉紗に、ツッコミを入れる和也
莉紗「ちょっとでいいからさ!ちょっと、ドバーッって出すだけでいいから!」
和也「「ドバーッ」はちょっとって言わねぇ!」
姉はよく、こんな変なことを口走ったり頼んだりする。毎回あるのに、慣れねぇ…
和也「で、今回は何が影響でそんなこと言ってんだ?」
莉紗「えっとね〜…ほら、次に書く小説をそういう系にしようとしてさ」
和也「SF寄りのホラーか?」
莉紗「そう!よくあれって、血がドバーッって出てたりするでしょ?」
和也「あぁ」
確かに、そういう表現だとかがある。人によっては、不快感を抱くであろう
莉紗「でもでも、それ書いてる作者ってさぁ、それを実際に見てないよね?」
和也「そうだな、見てたら大変なことだな」
ちょっとしたボケでも逃さないのが和也である
莉紗「だからぁ、リアリティを追究するために、和也に頼んだの。やってくれるっぽい?」
和也「やりませんッ!!」
莉紗「えぇ〜!?なんで!?今のは「仕方ねーな…ちょっとだけだぞ?(グサッ、ドバーッ)」ってやってくれるっぽい流れでしょ!?」
和也「そんな流れはないだろ!しかも音まで指定すんな!」
莉紗「わかった、じゃあこうしよう」
何か思い付いたように、手をポンッと叩く。
莉紗「ヘソから血を出して?」
和也「だから出さねーよ!」
莉紗「ヘソもダメなの!?和也、わがままっぽいよ」
ジト目でこっちを見てくる姉ちゃん。
和也「正当防衛だ!それに、血を出すことには変わりないだろ!」
莉紗「あ、そっか。和也頭いい〜」
拍手してる姉ちゃん。バカにしてんのか……
和也「とにかく、俺は血を出さないからな」
莉紗「しょうがない…じゃあ私が」
和也「それもダメだ!!あ、包丁をしまえ!……ハサミもダメだ!!」
と、まぁこんな具合で…俺と姉ちゃんの日常が続くのである
つづく
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