〜シエルside〜

僕のいるところから下を覗いてみる。
闇が広がっていた。けれどよく見てみれば地があるのがわかった。
その地に...光が見えた。目を懲らしてよく見る。するとそれは...最愛の君だった。
嬉しかった。自然と涙が溢れた。
涙を袖で拭いて僕は地を蹴った。
翼を広げそっと。少しずつ君に近づいてゆく。
ゆっくりと、ゆっくりと。
あと、数メートルのところで君がこちらを向いた。
少し目を見開いて、君は泣いていた。
僕に泣き顔を見られたくなかったんだよね。君は俯いて肩を震わせていた。静かに聞こえる君の嗚咽。

「会いたかった。ずっと、君を殺めたその瞬間から。ずっと。｣

君は声を震わせながらそう言った。そして、僕を抱きしめた。強く。今度は僕が目を見開く番だった。
だって...僕がしたかったことを君からされたのだから。
これ以上の幸せはなかった。
君は縋るように、まるで僕という存在を確かめるかのように長い時間をかけ僕を抱きしめていた。
だから僕は、安心して、ここにいる。そんな気持ちを込めて抱きしめ返した。
すると小さな声で
「ずっと会いたかった...もう、離れたくない。」
君は言った。

僕も。同じ気持ちだ。会いたかった。離れたくない。一生離さない。

「大丈夫...僕はどこにも行かない。君をおいてなんか居かない。二人で生きていこう...？｣

泣き疲れ、僕の腕の中で眠る君へ言葉を送る。
きっと聞こえてはいないだろうけれどそれで良いんだ。
また、何度でも繰り返すから。

腕の中の君。子供のように眠る君の髪を指で梳きながら静かに、そっと涙を流した。また会えたこの奇跡に喜びを感じながら。

■作者メッセージ
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