地球儀を回していると気づくことだが、高い文化基準を持つ国は横一列に並んでいる。
地中海を隔てたヨーロッパ諸国、中国、日本、そしてアメリカ合衆国。
地球気象からみても、四季があり土地が豊かであることが、それらの文化圏を誕生させた要因と考えて間違いはない。
それらを総括して「文化発達圏」とでも呼称しようか。
しかしその中にあり、ひとつの例外がある。そう北アメリカ大陸こと、アメリカ合衆国の国土である。
今でこそ北アメリカ大陸は高い栄耀栄華を築いているが、コロンブスがアメリカ大陸を発見したときは見渡す限りの荒野であったことは有名である。
アメリカ人はそれを開拓し、文明を築いたわけだが…
「オーパツ」と言葉は古代文明の遺産として認知されることが多い。
実際にはオーパーツとは、場違いな異物とされその存在が不確定なものを呼称する言葉である。
UFO〜未確認飛行物体=宇宙人の乗り物、と言う刷り込み思考と同じである。
しかしながら、やはりその存在に古代文明の存在を夢見てしまうのは、これは致し方ない人間の性である。
古代文明や幻の大陸は諸説諸々存在するが、その中でもやはり根強いものが「ムー大陸」である。
ムー大陸は太平洋に存在していたとされる、巨大な大陸とされており、本来はフィクションの存在なのだが未だその存在を肯定するものは多い。
その理由のひとつに、大陸地理を完全に否定することが出来ないというものがある。
アトランティスはそれこそ、分かりやすいほどにでっち上げられたような大陸である。
レムリア大陸は一部の生物学者に存在を支持されたが、近年の研究により大陸移動説でそれらの支持されていた事の大方の解決を見ることで、幻の大陸が本当に幻の陸地として人々の記憶
から消えてしまったといえる。
なぜ、ムー大陸は近年においても肯定されることが多いのか、それはやはりイースター島などに残るモアイなどの巨大オーパーツがその信憑性を出しているからである。
しかし、ムー大陸がどこに消えたのか?それが大きな謎となっている。
恐怖小説クゥトルーシリーズをはじめ、フィクションの世界において「南極大陸こそがムー大陸である」
という発想が多く世の中には出回っている。
さて、ここで一つ提案を出そう。
そう「北アメリカ大陸こそが、ムー大陸である」と、言う新たな説である。
北アメリカ大陸は文明発達圏でありながら荒野である、その理由を古代文明の超兵器により文明ごと破壊されたことに帰結するとする説である。
仮に想像もつかないような、物質を原子レベルで破壊しその残りかすが塩になってしまう兵器があったとすればその破壊終焉後の大津波で残りかすである塩が海に流されても、証拠一つ残さず、文明は消えうせることになる。
アメリカの秘密とされる「エリアXX」そこには宇宙人が住んでいるなど面白い話が数多く飛び交っている。
もし、そのエリアXXに、古代人であるムーの民が生き延びていたのなら…宇宙人=古代人の説を説いても面白いかもしれない。
王立退魔神学園 ACT3 『アーティファクト』
「だから、うちは言ったんや 仮にもアーティファクトを着るなんてのはありえへんって」
「そんな、過ぎちゃった事をぐちぐち言わないで下さいよ〜
先輩はいいですよね!私なんて、ひょっとしたら一生スクール水着着て暮らさなきゃいけないかも知れないんですよーー!!」
「ぷ・・・・」
「あ、今笑いましたね!! うがーーー笑うなーーー!!」
理事長であるリリスによりスクール水着(旧式)を着せられたみずきは、事もあろうかそれを脱ぐことが出来なくなってしまった。
その解決策を探し回るみずきとアレスなのだが、周りから見ればお笑いコンビにしか見えない滑稽な風景であった。
「まぁ古代文明の遺産ゆーたら、此処しかないわな」
「そうですよ!!月乃宮先輩なら助けてくれますよ!!そして、たくさんお菓子をくれる筈です!!」
その人物に会うことを快く思わないアレスに対し、目を輝かせ違う方向に喜びを向けるみずき。
「みずきは、脱ぐのが目的なんか?それとも、ケーキが目的なんか!?」
「当然、両方ですよ!
人間どんな状況だろうが、いや 困難な状況であればあるほどに、一石二鳥を目指すものです!」
みずきの言葉に頭を抱え込むアレスであった。
「おまえ、アホやろ」
そんな二人の前に、水色の長い髪をなびかせた美少女が話しかけてきた。
「石鎚山さんと・・・確か、3年のウォーターフィールドさん?
部長に何か用ですか?
石鎚山さん、その衣装部長が見たらすごい喜びますよ」
彼女の名前は七尾彼方(ななおかなた)今二人が行こうとしている部活動の部員である。
「いや、彼方さんこれにはいろいろ事情がありまして…決してコスプレなどでは」
あたふたしながら七尾彼方へ弁明するみずきであるのだが。
「ところで、寒くありませんか?」
七尾彼方のごく普通の言葉に、唖然とするみずき。
「て言うか、脱げないだけなんだから 別に上に服着ててもよかったんじゃ…」
ぷ・・・・ぷぷぷぷ
みずきの自分突っ込みに、笑いが堪えなれなくなるアレスに対し、頬を膨らませ怒り出すみずき。
「先輩!!気づいてたんなら速く言ってくださいよ!!
あ〜〜ん、もうお嫁にいけない〜〜」
「お嫁なら、私がもらいますから安心してください」
3人の背後から、長い黒髪をなびかせ美しい美貌で言葉を放つのは
RPG研究会部長である、月乃宮龍之介その人であった。
「げっ 月乃宮・・・」
龍之介を見るなり嫌そうな顔をするアレス。
「あ、部長おはようございます」
笑顔で挨拶をするのは七尾彼方。
「あ・・・えーと その 助けてください!!!」
みずきは、お嫁にもらうということに赤面しながらも、龍之介に助けを求めた。
4人が入っていった建物は学園の中心区に位置する巨大な施設であり
その施設そのものが月乃宮龍之介が率いるRPG研究会の建物そのものである。
本来RPG研究会とは、テーブルトークRPGやコンピュターRPGを制作する部活動であるのが
その施設には龍之介のコレクションである、歴代アニメ作品の数え切れないほどのLDやDVDをはじめ
レトロなゲーム機から、最新機種、果てにはゲームセンターの筐体まで完備されている。
オタクとされるものにとっては、まさに理想郷そのものであった。
「それで、この水着がアーティファクトなんですね」
龍之介はみずきの水着姿を真剣に眺めている。
「はい、お茶です!」
ドン!とテーブルの上に飲み物を運んできた七尾彼方はその龍之介の行動に不信感をあらわにしていた。
「部長!スクール水着なら私が着ますから、なにも石鎚山さんをそんなにガン見しなくてもいいじゃないですか!」
七尾彼方は赤面し、涙を目にためながら龍之介に言い放った。
「あははは ごめんなさい、では明日にでもお願いしますね 彼方さん」
龍之介が笑顔で答えると、七尾彼方の機嫌はたちまちよくなるのであった。
「で、なんとかなりそうなんか?」
一連のやりとりを尻目に、机に腰掛けてコーヒーをすするアレスは、龍之介に単刀直入に質問をぶつけた。
当事者であるみずきは、七尾彼方の行動にはらはらしたり、龍之介の対応に嫉妬心を見せたり大忙しである。
「そうですね・・・結論から言うなら おそらく、不可能ですね」
龍之介はみずきとアレスにその言葉を躊躇なく、投げかけた。
「しょんにゃ〜〜私一生スクール水着なんてイヤですよ〜せめて、せめて競泳水着がいいです!」
「いや、競泳水着ならいいんかい!!」
みずぎのボケに鋭い突っ込みのアレス。
そんな二人の行動をクスクス笑いながら、龍之介は側近のメイドにケーキの用意をするように指示を出した。
丸いテーブルを4人で囲むように座り、くつろぎだす。
アレスは龍之介に詳しい経緯を話しながら、みずきに自分の分のケーキを取られないよう見張っている。
みずきはと言うと、スクール水着のまま出されるケーキを食べるわ食べるわで、何度のおかわりを頼んでいた。
「なるほど・・・・ふむ
おそらく、そのアーティファクトは本来の姿ではないですね」
龍之介が顎に手を添えながら、難しい顔で答える。
「本来の姿やないって、どー言うことや?」
アレスが立ち上がり質問を返す。
「そうですね 最初にそれ(アーティファクト)をケースから出したのが理事長ですよね。
それなら話は簡単です。その水着の形状は理事長の思考をトレースしたからです。
あの人の性格から考えれば、マニア受けがいい旧式のスクール水着の形状もうなずけますし」
龍之介は、淡々と語る。
「それって!別の姿にもかえれるんですか!例えば競泳水着とかにも!!」
龍之介の話に興奮気味に食いつくみずき。
アレスはいい加減そのボケはやめいと、みずきを呆れ顔で見ていた。
龍之介は立ち上がり、3人に説明をはじめた。
そのいでたちは長い黒髪をなびかせ、顔には眼鏡がかけられ
短いスカートから覗かせるすらっと長い黒い足は、それらの言葉の説得力を高めるほどに美しいものであった。
そのアーティファクトの本来の使用方法は、重要なものを半永久的に元の状態を維持するためのものです。
生地に見えるそれは、ナノレベルで構築された特殊な繊維で、物質の細胞レベルにまで入り込み
その物の状態を半永久的に維持させることが可能と推測されます。
守るべき物質の内部に入り状態を半永久的に補完しつつ、外覧は繭のように包み込み保存物質を守ります。
形状変化を得意とするその繊維は、あらゆる形状に変化し、時にはダイヤモンド以上の強度にもなり
核爆発すら無効化するほどの防御本能を見せるでしょう。
絶対零度でさえも、その繊維を破壊することは不可能であり、この宇宙上で一度それに保護された物質を破壊する方法は無いでしょうね。
みずきさんは、それを着るときに何を思いましたか?
そう、今のスタイル美貌を保ち続けたい!と願っていたはずです。
それが証拠に、先ほどから2ケースはくだらないケーキを食べても、お腹が一切膨れていません。
それは、それ(アーティファクト)が、みずきさんそものを半永久的に補完する活動をしているからです。
つまり、それに保護されている限り みずきさんは半永久的に今の身体が保たれるということです。
「それってつまり みずきが・・・・不老不死になったゆーことか!?」
アレスは目を見開き、驚きを隠せない。
「事実上、そう言うことになりますね。
もっとも、見たところ保護期間はおよそ54億年程度と言ったところですか。
おそらくは、長時間の宇宙航行用に開発された保護装置を模した物がこれなんでしょうね。
エスタニア文明の遺品は、たいていそうした、ありえないような文明のレプリカであることが多いですから」
龍之介は物事を語りだすとき、半分は周りが知らないような言い回しをあえてするクセがあるのだが…
「いやいや、54億年って うちらにしたら、永遠と大差ないから」
アレスが手をふり、否定を伸べた。
「そうですか?私としたら54億年じゃ足りないですね〜
なんせ、この宇宙を掌握するには1000億年あっても足りないくらいですから」
笑顔で頬に手をおき得意の殺し笑顔で恐ろしいことを言ってのける龍之介であった。
「あの!ぶっちゃけ、ぜんぜん意味わかんないんすけど」
みずきがノー天気に質問をする。
みずきの言葉に興味をまったく示さない七尾彼方は、手にしてた文庫本を読み始めていた。
アレスはというと、みずきらしいという感じか、あまり気にしていない。
「まず、水着のままでは いろいろと大変でしょうから
そうですね、髪を束ねるリボンにでも変化させましょうか」
龍之介がみずきの肩に手を乗せ、その髪を束ねるようなしぐさをする。
その行動の中で憂いの視線をみずきに向け、みずきの心配を払拭していた。
「いいですか、まず 心の中で 変えたい形状の知識を想像してください
それが、いわゆるコンプリート(設計図)の雛形となります。
そして頭で形状を考えながら、変化させる言葉を放てば実行できます。
言わば、考えたものがそのまま実体になるんです」
龍之介は優しくレクチャーをみずきへとした。
「えーと、じゃ リボンの形を考えて・・・」
「形だけではいけません、リボンでしたら繊維なども考えなければ。
そうですね、生地の形状を想像するだけでも、十分だと思います」
「はい!!やってみますね!!
「えーと、なんて言えば変わるんですか??」
みずきは、う〜と唸りながら念じたが、肝心の言葉が出てこない。
「そうか、変化の言葉が分からないんですね・・・・
理事長が最初にこれを見たとき、なんと言いましたか??」
龍之介はアレスの方を振り向き、質問をする。
「こないな時はうちに聞くんやな…
まぁええけど
って、覚えとらんわ・・・すまん」
アレスは、引きつりながら返答する。
「なるほど・・・ふむ」
龍之介はアレスのひきつった顔と、みずきのそっぽを向き口笛吹いて誤魔化してるのを見て気づく。
「さぁ みずきさん
萌え萌えきゅん☆
と、言ってみましょうか」
龍之介は笑顔でありながら、恐ろしい威圧感でみずきに命じた。
「やっ・・・・やっぱり言わなきゃダメですか・・・」
みずきが恐怖しながら龍之介に問うが、龍之介は笑顔で頷くのみだった。
「ええええい!女は度胸!
リボンになれ!萌え萌えきゅん☆!!」
みずきは大きな声で叫んだ。
すると、体を覆っていた水着は皮膚からはなれ、髪を束ねるオレンジのリボンへと変化した。
「やった!!!やりましたよアレス先輩!!」
みずきは、おおはしゃぎで喜ぶも
「みずき・・・・裸」
アレスは目線をそらしつつ、全裸となってるみずきに言った。
「あは〜ん」
よだれをたらしながら、全裸のみずきをガン見する龍之介
「(あれ、絶対わかってやってますよね)」
二人をにらみながら七尾彼方はぶつぶつつぶやいてた。
「パチン」
龍之介の指示で、R研の女部員達がみずぎにセーラー服を着せる。
「似合ってますよ、セーラー服」
笑顔で言い放つ龍之介。
「あの、ありがたいんですけど なぜに?セーラー服?」
「あら、お気に召しませんでしたか
では、スクール水着にしましょうか」
龍之介に間髪要れずに否定するみずき
「絶対イヤです!」
「しかし、あれやな
月乃宮はホンマ誘導尋問っちゅーか、心理誘導が得意やな・・・悪い意味で」
アレスが呆れながらつぶやく。
「はっ!ひょっとして」
みずきが何かたくらむ
「萌え萌えきゅん☆!!」
みずきの言葉でアーティファクトが大型のハリセンへと姿を変えた。
スパコーーーン
「いたいやないか!!なにすんねんボケ!!!」
みずきがハリセンでアレスの後頭部をぶちかますも
それに即突っ込むアレス。
「なるほど、私の知識では薄い紙にしかできないんですね・・・」
みずきは、真剣な表情でぶつぶつ言っている。
「あんたは、うちを実験台にしたんかーー また裸にひんむいて、公衆にさらしたるわ!」
「残念でしたーー!!
先輩が脱がせても、私が別な服を考えれば脱がせれないんでーーす」
みずきは、あっかんべーをしながら 追いかけてくるアレスから逃げている。
「そう、みずきさん
あなたの発想と知識が、そのままあなたの力になるんです」
二人を見つめながら龍之介が締めの言葉に入っていた。
「部長・・・いいんですか?
あのアイテム、本当は部長が欲しいんじゃないんですか?」
七尾彼方が龍之介に言うも
「ん?いいんですよ
私は私の力で不死を実現するんですから
それに、54億年もこんな女の姿なんかでいたら、飽きちゃいますよ」
龍之介の野望を秘めた瞳を見つめながら七尾彼方は思った。
「(それでも私は”今”の部長が好きです)」
ACT4は、みなみちゃん事 D.E.Aさんです。
地中海を隔てたヨーロッパ諸国、中国、日本、そしてアメリカ合衆国。
地球気象からみても、四季があり土地が豊かであることが、それらの文化圏を誕生させた要因と考えて間違いはない。
それらを総括して「文化発達圏」とでも呼称しようか。
しかしその中にあり、ひとつの例外がある。そう北アメリカ大陸こと、アメリカ合衆国の国土である。
今でこそ北アメリカ大陸は高い栄耀栄華を築いているが、コロンブスがアメリカ大陸を発見したときは見渡す限りの荒野であったことは有名である。
アメリカ人はそれを開拓し、文明を築いたわけだが…
「オーパツ」と言葉は古代文明の遺産として認知されることが多い。
実際にはオーパーツとは、場違いな異物とされその存在が不確定なものを呼称する言葉である。
UFO〜未確認飛行物体=宇宙人の乗り物、と言う刷り込み思考と同じである。
しかしながら、やはりその存在に古代文明の存在を夢見てしまうのは、これは致し方ない人間の性である。
古代文明や幻の大陸は諸説諸々存在するが、その中でもやはり根強いものが「ムー大陸」である。
ムー大陸は太平洋に存在していたとされる、巨大な大陸とされており、本来はフィクションの存在なのだが未だその存在を肯定するものは多い。
その理由のひとつに、大陸地理を完全に否定することが出来ないというものがある。
アトランティスはそれこそ、分かりやすいほどにでっち上げられたような大陸である。
レムリア大陸は一部の生物学者に存在を支持されたが、近年の研究により大陸移動説でそれらの支持されていた事の大方の解決を見ることで、幻の大陸が本当に幻の陸地として人々の記憶
から消えてしまったといえる。
なぜ、ムー大陸は近年においても肯定されることが多いのか、それはやはりイースター島などに残るモアイなどの巨大オーパーツがその信憑性を出しているからである。
しかし、ムー大陸がどこに消えたのか?それが大きな謎となっている。
恐怖小説クゥトルーシリーズをはじめ、フィクションの世界において「南極大陸こそがムー大陸である」
という発想が多く世の中には出回っている。
さて、ここで一つ提案を出そう。
そう「北アメリカ大陸こそが、ムー大陸である」と、言う新たな説である。
北アメリカ大陸は文明発達圏でありながら荒野である、その理由を古代文明の超兵器により文明ごと破壊されたことに帰結するとする説である。
仮に想像もつかないような、物質を原子レベルで破壊しその残りかすが塩になってしまう兵器があったとすればその破壊終焉後の大津波で残りかすである塩が海に流されても、証拠一つ残さず、文明は消えうせることになる。
アメリカの秘密とされる「エリアXX」そこには宇宙人が住んでいるなど面白い話が数多く飛び交っている。
もし、そのエリアXXに、古代人であるムーの民が生き延びていたのなら…宇宙人=古代人の説を説いても面白いかもしれない。
王立退魔神学園 ACT3 『アーティファクト』
「だから、うちは言ったんや 仮にもアーティファクトを着るなんてのはありえへんって」
「そんな、過ぎちゃった事をぐちぐち言わないで下さいよ〜
先輩はいいですよね!私なんて、ひょっとしたら一生スクール水着着て暮らさなきゃいけないかも知れないんですよーー!!」
「ぷ・・・・」
「あ、今笑いましたね!! うがーーー笑うなーーー!!」
理事長であるリリスによりスクール水着(旧式)を着せられたみずきは、事もあろうかそれを脱ぐことが出来なくなってしまった。
その解決策を探し回るみずきとアレスなのだが、周りから見ればお笑いコンビにしか見えない滑稽な風景であった。
「まぁ古代文明の遺産ゆーたら、此処しかないわな」
「そうですよ!!月乃宮先輩なら助けてくれますよ!!そして、たくさんお菓子をくれる筈です!!」
その人物に会うことを快く思わないアレスに対し、目を輝かせ違う方向に喜びを向けるみずき。
「みずきは、脱ぐのが目的なんか?それとも、ケーキが目的なんか!?」
「当然、両方ですよ!
人間どんな状況だろうが、いや 困難な状況であればあるほどに、一石二鳥を目指すものです!」
みずきの言葉に頭を抱え込むアレスであった。
「おまえ、アホやろ」
そんな二人の前に、水色の長い髪をなびかせた美少女が話しかけてきた。
「石鎚山さんと・・・確か、3年のウォーターフィールドさん?
部長に何か用ですか?
石鎚山さん、その衣装部長が見たらすごい喜びますよ」
彼女の名前は七尾彼方(ななおかなた)今二人が行こうとしている部活動の部員である。
「いや、彼方さんこれにはいろいろ事情がありまして…決してコスプレなどでは」
あたふたしながら七尾彼方へ弁明するみずきであるのだが。
「ところで、寒くありませんか?」
七尾彼方のごく普通の言葉に、唖然とするみずき。
「て言うか、脱げないだけなんだから 別に上に服着ててもよかったんじゃ…」
ぷ・・・・ぷぷぷぷ
みずきの自分突っ込みに、笑いが堪えなれなくなるアレスに対し、頬を膨らませ怒り出すみずき。
「先輩!!気づいてたんなら速く言ってくださいよ!!
あ〜〜ん、もうお嫁にいけない〜〜」
「お嫁なら、私がもらいますから安心してください」
3人の背後から、長い黒髪をなびかせ美しい美貌で言葉を放つのは
RPG研究会部長である、月乃宮龍之介その人であった。
「げっ 月乃宮・・・」
龍之介を見るなり嫌そうな顔をするアレス。
「あ、部長おはようございます」
笑顔で挨拶をするのは七尾彼方。
「あ・・・えーと その 助けてください!!!」
みずきは、お嫁にもらうということに赤面しながらも、龍之介に助けを求めた。
4人が入っていった建物は学園の中心区に位置する巨大な施設であり
その施設そのものが月乃宮龍之介が率いるRPG研究会の建物そのものである。
本来RPG研究会とは、テーブルトークRPGやコンピュターRPGを制作する部活動であるのが
その施設には龍之介のコレクションである、歴代アニメ作品の数え切れないほどのLDやDVDをはじめ
レトロなゲーム機から、最新機種、果てにはゲームセンターの筐体まで完備されている。
オタクとされるものにとっては、まさに理想郷そのものであった。
「それで、この水着がアーティファクトなんですね」
龍之介はみずきの水着姿を真剣に眺めている。
「はい、お茶です!」
ドン!とテーブルの上に飲み物を運んできた七尾彼方はその龍之介の行動に不信感をあらわにしていた。
「部長!スクール水着なら私が着ますから、なにも石鎚山さんをそんなにガン見しなくてもいいじゃないですか!」
七尾彼方は赤面し、涙を目にためながら龍之介に言い放った。
「あははは ごめんなさい、では明日にでもお願いしますね 彼方さん」
龍之介が笑顔で答えると、七尾彼方の機嫌はたちまちよくなるのであった。
「で、なんとかなりそうなんか?」
一連のやりとりを尻目に、机に腰掛けてコーヒーをすするアレスは、龍之介に単刀直入に質問をぶつけた。
当事者であるみずきは、七尾彼方の行動にはらはらしたり、龍之介の対応に嫉妬心を見せたり大忙しである。
「そうですね・・・結論から言うなら おそらく、不可能ですね」
龍之介はみずきとアレスにその言葉を躊躇なく、投げかけた。
「しょんにゃ〜〜私一生スクール水着なんてイヤですよ〜せめて、せめて競泳水着がいいです!」
「いや、競泳水着ならいいんかい!!」
みずぎのボケに鋭い突っ込みのアレス。
そんな二人の行動をクスクス笑いながら、龍之介は側近のメイドにケーキの用意をするように指示を出した。
丸いテーブルを4人で囲むように座り、くつろぎだす。
アレスは龍之介に詳しい経緯を話しながら、みずきに自分の分のケーキを取られないよう見張っている。
みずきはと言うと、スクール水着のまま出されるケーキを食べるわ食べるわで、何度のおかわりを頼んでいた。
「なるほど・・・・ふむ
おそらく、そのアーティファクトは本来の姿ではないですね」
龍之介が顎に手を添えながら、難しい顔で答える。
「本来の姿やないって、どー言うことや?」
アレスが立ち上がり質問を返す。
「そうですね 最初にそれ(アーティファクト)をケースから出したのが理事長ですよね。
それなら話は簡単です。その水着の形状は理事長の思考をトレースしたからです。
あの人の性格から考えれば、マニア受けがいい旧式のスクール水着の形状もうなずけますし」
龍之介は、淡々と語る。
「それって!別の姿にもかえれるんですか!例えば競泳水着とかにも!!」
龍之介の話に興奮気味に食いつくみずき。
アレスはいい加減そのボケはやめいと、みずきを呆れ顔で見ていた。
龍之介は立ち上がり、3人に説明をはじめた。
そのいでたちは長い黒髪をなびかせ、顔には眼鏡がかけられ
短いスカートから覗かせるすらっと長い黒い足は、それらの言葉の説得力を高めるほどに美しいものであった。
そのアーティファクトの本来の使用方法は、重要なものを半永久的に元の状態を維持するためのものです。
生地に見えるそれは、ナノレベルで構築された特殊な繊維で、物質の細胞レベルにまで入り込み
その物の状態を半永久的に維持させることが可能と推測されます。
守るべき物質の内部に入り状態を半永久的に補完しつつ、外覧は繭のように包み込み保存物質を守ります。
形状変化を得意とするその繊維は、あらゆる形状に変化し、時にはダイヤモンド以上の強度にもなり
核爆発すら無効化するほどの防御本能を見せるでしょう。
絶対零度でさえも、その繊維を破壊することは不可能であり、この宇宙上で一度それに保護された物質を破壊する方法は無いでしょうね。
みずきさんは、それを着るときに何を思いましたか?
そう、今のスタイル美貌を保ち続けたい!と願っていたはずです。
それが証拠に、先ほどから2ケースはくだらないケーキを食べても、お腹が一切膨れていません。
それは、それ(アーティファクト)が、みずきさんそものを半永久的に補完する活動をしているからです。
つまり、それに保護されている限り みずきさんは半永久的に今の身体が保たれるということです。
「それってつまり みずきが・・・・不老不死になったゆーことか!?」
アレスは目を見開き、驚きを隠せない。
「事実上、そう言うことになりますね。
もっとも、見たところ保護期間はおよそ54億年程度と言ったところですか。
おそらくは、長時間の宇宙航行用に開発された保護装置を模した物がこれなんでしょうね。
エスタニア文明の遺品は、たいていそうした、ありえないような文明のレプリカであることが多いですから」
龍之介は物事を語りだすとき、半分は周りが知らないような言い回しをあえてするクセがあるのだが…
「いやいや、54億年って うちらにしたら、永遠と大差ないから」
アレスが手をふり、否定を伸べた。
「そうですか?私としたら54億年じゃ足りないですね〜
なんせ、この宇宙を掌握するには1000億年あっても足りないくらいですから」
笑顔で頬に手をおき得意の殺し笑顔で恐ろしいことを言ってのける龍之介であった。
「あの!ぶっちゃけ、ぜんぜん意味わかんないんすけど」
みずきがノー天気に質問をする。
みずきの言葉に興味をまったく示さない七尾彼方は、手にしてた文庫本を読み始めていた。
アレスはというと、みずきらしいという感じか、あまり気にしていない。
「まず、水着のままでは いろいろと大変でしょうから
そうですね、髪を束ねるリボンにでも変化させましょうか」
龍之介がみずきの肩に手を乗せ、その髪を束ねるようなしぐさをする。
その行動の中で憂いの視線をみずきに向け、みずきの心配を払拭していた。
「いいですか、まず 心の中で 変えたい形状の知識を想像してください
それが、いわゆるコンプリート(設計図)の雛形となります。
そして頭で形状を考えながら、変化させる言葉を放てば実行できます。
言わば、考えたものがそのまま実体になるんです」
龍之介は優しくレクチャーをみずきへとした。
「えーと、じゃ リボンの形を考えて・・・」
「形だけではいけません、リボンでしたら繊維なども考えなければ。
そうですね、生地の形状を想像するだけでも、十分だと思います」
「はい!!やってみますね!!
「えーと、なんて言えば変わるんですか??」
みずきは、う〜と唸りながら念じたが、肝心の言葉が出てこない。
「そうか、変化の言葉が分からないんですね・・・・
理事長が最初にこれを見たとき、なんと言いましたか??」
龍之介はアレスの方を振り向き、質問をする。
「こないな時はうちに聞くんやな…
まぁええけど
って、覚えとらんわ・・・すまん」
アレスは、引きつりながら返答する。
「なるほど・・・ふむ」
龍之介はアレスのひきつった顔と、みずきのそっぽを向き口笛吹いて誤魔化してるのを見て気づく。
「さぁ みずきさん
萌え萌えきゅん☆
と、言ってみましょうか」
龍之介は笑顔でありながら、恐ろしい威圧感でみずきに命じた。
「やっ・・・・やっぱり言わなきゃダメですか・・・」
みずきが恐怖しながら龍之介に問うが、龍之介は笑顔で頷くのみだった。
「ええええい!女は度胸!
リボンになれ!萌え萌えきゅん☆!!」
みずきは大きな声で叫んだ。
すると、体を覆っていた水着は皮膚からはなれ、髪を束ねるオレンジのリボンへと変化した。
「やった!!!やりましたよアレス先輩!!」
みずきは、おおはしゃぎで喜ぶも
「みずき・・・・裸」
アレスは目線をそらしつつ、全裸となってるみずきに言った。
「あは〜ん」
よだれをたらしながら、全裸のみずきをガン見する龍之介
「(あれ、絶対わかってやってますよね)」
二人をにらみながら七尾彼方はぶつぶつつぶやいてた。
「パチン」
龍之介の指示で、R研の女部員達がみずぎにセーラー服を着せる。
「似合ってますよ、セーラー服」
笑顔で言い放つ龍之介。
「あの、ありがたいんですけど なぜに?セーラー服?」
「あら、お気に召しませんでしたか
では、スクール水着にしましょうか」
龍之介に間髪要れずに否定するみずき
「絶対イヤです!」
「しかし、あれやな
月乃宮はホンマ誘導尋問っちゅーか、心理誘導が得意やな・・・悪い意味で」
アレスが呆れながらつぶやく。
「はっ!ひょっとして」
みずきが何かたくらむ
「萌え萌えきゅん☆!!」
みずきの言葉でアーティファクトが大型のハリセンへと姿を変えた。
スパコーーーン
「いたいやないか!!なにすんねんボケ!!!」
みずきがハリセンでアレスの後頭部をぶちかますも
それに即突っ込むアレス。
「なるほど、私の知識では薄い紙にしかできないんですね・・・」
みずきは、真剣な表情でぶつぶつ言っている。
「あんたは、うちを実験台にしたんかーー また裸にひんむいて、公衆にさらしたるわ!」
「残念でしたーー!!
先輩が脱がせても、私が別な服を考えれば脱がせれないんでーーす」
みずきは、あっかんべーをしながら 追いかけてくるアレスから逃げている。
「そう、みずきさん
あなたの発想と知識が、そのままあなたの力になるんです」
二人を見つめながら龍之介が締めの言葉に入っていた。
「部長・・・いいんですか?
あのアイテム、本当は部長が欲しいんじゃないんですか?」
七尾彼方が龍之介に言うも
「ん?いいんですよ
私は私の力で不死を実現するんですから
それに、54億年もこんな女の姿なんかでいたら、飽きちゃいますよ」
龍之介の野望を秘めた瞳を見つめながら七尾彼方は思った。
「(それでも私は”今”の部長が好きです)」
ACT4は、みなみちゃん事 D.E.Aさんです。
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