連載小説
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8
加奈子「……ッ!」
加奈子は死を覚悟して、強く目を瞑った…………

麒麟が、こちらに走ってくる足音が聞こえる。それが、どんどんこちらに近づいてくる………




………………



……………………






















……………………?




加奈子は、不思議に思った。何故か、麒麟の足音が……加奈子の横を通りすぎたことを





加奈子「………」
そっと目を開けて、後ろを見る…………麒麟は、他の生徒を追いかけていて、もう加奈子には見向きもしていない

加奈子「……………」
その光景を、ただ呆然と眺めていた………後ろから狼が来て、加奈子の横を通り他の生徒を追いかけた

加奈子「……なんで…………」



















一方、優は七瀬、祐也と合流していた

優「先生、祐也君!」

祐也「あ、優…」
七瀬「相川君!無事だったのね〜!」

七瀬が優に抱きつく

優「せ、先生!?」
七瀬「あらら〜、私ったらついやっちゃった〜」
優から離れて、頭を軽くコツンと叩いて舌を出す七瀬。祐也は呆れたようにため息を吐き、優へ話しかける

祐也「優、お前は麒麟、狼、猿のどれかから…狙われなかったりした?」
優「え?」

その祐也の発言に、少し驚く優。気にせず祐也は話続ける

祐也「僕は麒麟に追いかけられなかったよ。」
七瀬「あ、私も麒麟に狙われなかったわ〜。昨日目の前にいたのに、私は殺さず保健室から出て行ったもの〜。あと、狼にも追いかけられなかったわ〜」

祐也の話を聞いて、自分も狙われなかったことを話す七瀬。二人の言ってることが信じられないというように、優は

優「え、ちょ、ちょっと待って!二人とも、狙われなかったの…!?」
祐也「そう言ったけど?」
七瀬「まぁ、普通は考えられないわね〜」

まだ少し整理出来てない様子の優の後ろにある廊下で、遥が走ってる


優「あ、桜井さん!」
遥「…!相川君!」
遥が優に気づいて、優達の方へ走ってくる

遥「先生達も、無事だったんですね…」
少し安心したような表情を浮かべる遥。優と七瀬は、似たような表情を浮かべる


祐也「ねぇ、遥だっけ?麒麟、猿、狼の中で、追ってこなかったのとかいる?」
遥「え、え?それって、どういう………」
優と同じ反応をする遥。優に話したことを、遥にも伝える。


遥「そ、そうなんだ…」
優「それで、追ってこなかったのはいた?」
少し思い返す遥。

遥「…多分、いないかな」
優「そっか……僕も、いないよ」
祐也「狙われる奴と狙われない奴がいる…何か、狙われない奴には条件があるのかな?」

祐也が考えながら話していると、奥の廊下から狼が走ってくる


優「あ、狼だ!!」
祐也「逃げるよ!!」
いち早く気づいた優の声で、全員逃げる。

遥「あれ、先生も…?」
七瀬「だって、怖いじゃない〜」

走っていると、分かれ道に辿り着く。左へ行けば、第一校舎に繋がる廊下。右へ行けば、階段がある。

遥「どうするの、どっちに行く!?」
祐也「迷ってる暇なんてないよ!!」
祐也は左へ曲がって廊下を走る。優も祐也の後を追うように左へ。遥、七瀬は右の階段を下りる

狼は左へ曲がり、優達を追う

祐也「どうやら、僕等を追いかけてきたみたいだね…!」
優「この先は階段と、左右に廊下がある!階段の方に行こう!」
二人は、階段に向けて全力疾走。もう少しで階段に辿り着くところで、前から京也が上って来たため……


優「きょ、京也!?」
ドンッ!

優、祐也「わっ!!」
京也「うぉっ!?」
激突してしまった。


京也「いてててて……だ、大丈夫か?」
祐也「何でこのタイミングで、前から来るんだよっ!!それより、早く下りないと…」
階段を下りようと、立ち上がる………が、体育館に閉じ込めた筈の猿が階段を上ってくる

優「さ、猿だ!!」
三人とも急いで立ち上がって、廊下を走る。京也と祐也が後ろを見ると、猿と狼が追ってきてる。


祐也「前から来た上、猿まで連れてくるなよ!!」
京也「知らねーよ!体育館の梯子は塞いだのに、何故かいるんだよ!!つか、お前まで狼連れてくるなよ!!」
祐也「なんだとぉっ!!?」
優「二人とも!!今は喧嘩してる場合じゃない!!」
走りながら喧嘩してる二人に怒鳴る優。右を向くと、階段から加奈子が上ってくるのが見えたが、すぐ通りすぎてしまったため

優「宮田さん、逃げて!!」
加奈子「え…?」

加奈子が左を見ると、猿と狼が追ってくるのが見えた…が、その場から動こうとしない加奈子。そして………















狼と猿は、加奈子に見向きもせず通りすぎた


京也「お、おい!!宮田ガン無視してんぞ!!どうなってんだ!?」
京也は、麒麟達に追われない人がいることを知らないため、かなり驚いている様子だ

祐也「そんなの、後で話す!!」


すると、学校中にサイレンが鳴り響く。どうやら、終了したようだ………先程まで追ってきていた猿と狼は、消えてしまう。


優「はぁ…はぁ……終わった…………」
三人とも息を切らしている。息を整えた優は、廊下からグラウンドを見て……転がってる死体を見る。やはり前みたいに、医療と書いてる白い人が死体を回収していた。




つづく
15/01/03 13:38更新 / 青猫
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