第8話『ハイイロの空』
西暦2015年 幻想郷 妖怪の山
射命丸「なに、この手紙…っ!」
朝、はたてに呼び出されて集まった、私と椛。ポストに入っていた手紙を読む私と椛
椛「はたてさん…これって……」
はたて「えぇ……椛のストーカーからのでしょうね…」
射命丸「え…何そのストーカーって」
少し驚いた表情をする射命丸。はたては説明する
はたて「この間、椛に話してもらったのよ…どこにいても、視線を感じるって……おそらく、ストーカーだと思うわ」
射命丸「ストーカー…もしかして、この間あんた達が話してたのは、その話?」
はたて「えぇ、そうよ」
悪いことをした……私のせいで、こんなことに…と思った。でも、そう思うと同時に、二人を助けようと思った。
射命丸「椛の能力なら、誰かわかるでしょう?」
椛「それが……見えないんです…どこにいるか…」
はたて「おそらく、姿を消すような能力を持つ妖怪ね…」
すると、あることを思い付く
射命丸「そうだ…霧雨の森にある道具屋とか、霖之助さんのところで何か、護身用の道具を買おう!」
椛「…あ、それいいかもしれません!何か強力な道具があれば!文さん、ついてきてくれますよね?」
射命丸「えぇ、もちろん!」
こうなったのも私が原因だ、二人を守らないと…
はたて「でも、それじゃあ相手が見えないまま戦わないといけないじゃない。そもそも、相手がどんな戦い方をするのかもわからないのよ?」
射命丸「でも、何もないよりは!」
はたて「むしろ、能力関係なく相手を察知できる道具を探した方がいいわ。それなら、全員でかかれば一発よ」
椛「確かに…」
射命丸「!」
椛「すごいです、はたてさん!それなら行けます!」
ダメだ………新聞のことばかり考えてたから、仲間のことを何一つわかってない………こんなんじゃあ、椛もはたても守れない
椛「行きましょう、文さん!」
椛が射命丸の手を掴む
射命丸「……いや」
手を振りほどく
椛「え…………」
射命丸「私、今日用事あったのよ。はたて、椛と一緒に行って」
はたて「え…?」
椛「な、なんですかそれ…さっき、文さん用事ないって…」
射命丸「だから、はたてと行けばいいでしょう」
近くの椅子に座る射命丸
はたて「どうしたのよ、文。椛は困ってるのよ?私もだけど」
そうだ………
はたて「文?」
なんなんだ、私は……
はたて「ねぇ…」射命丸「うるさい」
椛、はたて「…!」
射命丸「はたて、あんたの方が頼りになるんだから。」
やめて……何言ってるの、私……
射命丸「あんたの方が、適任だっていってるのよ」
それ以上は……その先の言葉は…
射命丸「早く、行ってくれば?」
うつ向いて話す射命丸流石に少し睨むはたて
はたて「…わかったわ…行きましょう、椛」
椛「文さん…」
射命丸「早く行きなさいよ。だいたい…あんたが弱いから、ストーカーなんてされるんでしょ」
椛「……!!」
流石に泣きそうな顔になる椛。はたては再び睨み、椛は出ていく
はたて「見損なったわ、文。椛はいつも、あんたのこと頼りにしてるのに…
最低。」
はたてはそれだけ言うと、出ていった
同感だよ………本当に……
私は部屋で、三人で過ごしたことを思い出していた。………確かに、私は新聞ばかりで…仲間のことなんて考えてなかった。これが、私とはたてとの差……?いや、そういうのじゃない……なんなんだろう……
ふと、窓から外を見ると…入り口に妖怪がいた。
射命丸「あなたは…?」
外に出て、その妖怪に話しかける
「あ、こんにちは…私、椛ちゃんの友達の…早乙女 雪です」
そうか…椛にこんな友達が………私は、本当に何もわかってないんだな……
雪「えっと…椛ちゃんは?」
射命丸「あ、えっと……今、はたてと出掛けてます」
雪「そうなんですか……あの、あなたが射命丸文さんですよね…?」
射命丸「私のこと知ってるんですか?」
雪「はい……」
頷いて、ニコッと笑う雪
雪「昨日の新聞読みました…はたてさんの椛ちゃんが付き合うっていう記事を読みました。いろいろ、参考になりました」
射命丸「え?参考…?」
雪「い、いえ…こっちの話です…」
苦笑する雪。なんかこの子、無邪気な感じだな…
雪「あ…あれって…」
雪が少し顔色を変えて、ある方向を見る。私もそっちを見ると……誰かはわからないが、人影がある
射命丸「まさか、ストーカー…!!」
それを言った直後、その人影が逃げる。雪は、違う方向へ走り
射命丸「私が絶対に捕まえる…っ!!」
角を曲がって、さらに角を曲がる……そして、そのストーカーに飛び付き、一緒に倒れる
射命丸「捕まえた………あれ…にとりさん!?」
そう、捕まえた相手は…このよ妖怪の山に住んでいる、河童の河城にとりだ。
射命丸「まさか、にとりさんがストーカー…」
にとり「そんなわけないだろー!」
射命丸「いやでも、にとりさんなら…姿を消せる道具とか作れそうですね…」
にとり「だから、違うってば!」
両手を前に出して横に振り、必死の否定をする
射命丸「じゃああそこで、何をやってたんですか!答えてください!
にとり「あの早乙女雪っていう妖怪を見てたんだよ!最近、椛がストーカーにあってるって言うから、姿を消せる奴でも見える眼鏡を作ったんだよ。それで椛の近くを見たら……
あの早乙女雪がいたんだよ」
射命丸「………っ!!」
何を…何を言って………
空が曇り始め、雨が降る
にとり「お前と話してる時、友達だって言ってたけど…多分、椛はアイツのことしらないだろうなぁ」
射命丸「ちょ、ちょっと待ってください!あの人が…ストーカーですか…!?」
にとり「何日か見たけど、毎日いるから今日伝えようと思って…」
じゃあ…あの「参考になりました」って……
射命丸「……っ!!」
にとり「あ、どこにいくんだよぉ!」
私は、雨の中…霧雨の森へ飛んだ。ハイイロの空の下を………
手遅れになる前に………っ!!
私が霧雨の森についた頃には……もう、何もかもが手遅れになっていた。雪は取り押さえられ、はたては背中から血を流していて…運ばれて……泣いている椛がいた
射命丸「あ……ぁ……あぁぁ…………っ!」
はたてを追いかけようとしたが、近くにいた人に止められる
射命丸「はたてぇっ!!!」
そのまま、はたては永遠亭に運ばれた。
永遠亭に着くと、泣いてる椛と……布団に入って、顔に布がかけてあるはたてがいた
椛「文さん…はたてさんが……はたてさんがっ…死んじゃいましたよぉ………っ…」
椛は泣きながら、私にはたての死を伝えた……私は、はたてを見ていた…
その後、早乙女雪の事情聴取をした妖怪に、話を聞く私と椛
妖怪「事情聴取をしてみました。早乙女雪は、はたてさんを殺そうとしてました。何やら、はたてさんは椛さんと付き合ってる…とか、なんとか……今だ、取り乱していて…」
何を、何を言って………
「はたてさんと椛ちゃんが付き合うっていう記事を読みました。いろいろ、参考になりました」
ガタンッ!!!
座ってた椅子から落ちて、私は頭を抱える
射命丸「あぁ…あぁぁぁ……ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
椛「文さん!?どうしたんですか!?文さんっ!文さんっ!!」
なんだ……私が悪いんだ…………
私があんなくだらないこと書いたから……はたてが死んだんだ……
はたての葬式に出た私、椛の姿が見えない
白狼天狗「射命丸さん、この度は…」
射命丸「…椛は……?」
話しかけてきた白狼天狗に、椛はどうしたのかを聞く
白狼天狗「ごめんなさい…あの子、まだ立ち直れないみたいで…」
射命丸「……そうですか…」
はたて葬式が終わって、家に帰る。はたてがもういない……?もう、この世に存在しない?……私は、まだはたての死を…完全に受け止められてない……
翌朝、いつもの時間に起きて…出掛けようとする。
何か…胸の奥が痛い………
射命丸「……………」
あの日から、ずっとハイイロに見える空を見上げる…
何をやってるんだ、私は……
私は家に帰った……そして、椛のことを思い出す
もし、私が椛の目の前に現れたらどうなる?きっと、はたてを思い出すに違いない……
私は、妖怪の山から出ていった………
別の住居で、私はベッドに入っている
「見損なったわ、文。椛はいつも、あんたのこと頼りにしてるのに……最低。」
射命丸「………」
あのときのはたての言葉が、頭の中で響く。
射命丸「…違う…はたて…椛………私が悪かった……」
今さら、何を言っても届かない………
窓を開けていて、あのハイイロの空を見ている。私は、窓を見る
あの窓に、雪がうつったように見えた
「はたてさんと椛ちゃんが付き合うっていう記事を読みました。いろいろ、参考になりました」
私は、新聞記者をやめて………「射命丸文」という存在を捨てた
その後、私は「大蓮寺 朱雀」として生きる。そして、ハイイロにしか見えなかった空を、元の色に戻してくれる奴が現れたが……それはもう少し、先の話だ
次回予告
レン「次回から、秋でーす」
スザク「えらく季節巡るな」
レミィ「次回『秋の山』だよ、読まないと撃つよ」
スザク「怖いな」
射命丸「なに、この手紙…っ!」
朝、はたてに呼び出されて集まった、私と椛。ポストに入っていた手紙を読む私と椛
椛「はたてさん…これって……」
はたて「えぇ……椛のストーカーからのでしょうね…」
射命丸「え…何そのストーカーって」
少し驚いた表情をする射命丸。はたては説明する
はたて「この間、椛に話してもらったのよ…どこにいても、視線を感じるって……おそらく、ストーカーだと思うわ」
射命丸「ストーカー…もしかして、この間あんた達が話してたのは、その話?」
はたて「えぇ、そうよ」
悪いことをした……私のせいで、こんなことに…と思った。でも、そう思うと同時に、二人を助けようと思った。
射命丸「椛の能力なら、誰かわかるでしょう?」
椛「それが……見えないんです…どこにいるか…」
はたて「おそらく、姿を消すような能力を持つ妖怪ね…」
すると、あることを思い付く
射命丸「そうだ…霧雨の森にある道具屋とか、霖之助さんのところで何か、護身用の道具を買おう!」
椛「…あ、それいいかもしれません!何か強力な道具があれば!文さん、ついてきてくれますよね?」
射命丸「えぇ、もちろん!」
こうなったのも私が原因だ、二人を守らないと…
はたて「でも、それじゃあ相手が見えないまま戦わないといけないじゃない。そもそも、相手がどんな戦い方をするのかもわからないのよ?」
射命丸「でも、何もないよりは!」
はたて「むしろ、能力関係なく相手を察知できる道具を探した方がいいわ。それなら、全員でかかれば一発よ」
椛「確かに…」
射命丸「!」
椛「すごいです、はたてさん!それなら行けます!」
ダメだ………新聞のことばかり考えてたから、仲間のことを何一つわかってない………こんなんじゃあ、椛もはたても守れない
椛「行きましょう、文さん!」
椛が射命丸の手を掴む
射命丸「……いや」
手を振りほどく
椛「え…………」
射命丸「私、今日用事あったのよ。はたて、椛と一緒に行って」
はたて「え…?」
椛「な、なんですかそれ…さっき、文さん用事ないって…」
射命丸「だから、はたてと行けばいいでしょう」
近くの椅子に座る射命丸
はたて「どうしたのよ、文。椛は困ってるのよ?私もだけど」
そうだ………
はたて「文?」
なんなんだ、私は……
はたて「ねぇ…」射命丸「うるさい」
椛、はたて「…!」
射命丸「はたて、あんたの方が頼りになるんだから。」
やめて……何言ってるの、私……
射命丸「あんたの方が、適任だっていってるのよ」
それ以上は……その先の言葉は…
射命丸「早く、行ってくれば?」
うつ向いて話す射命丸流石に少し睨むはたて
はたて「…わかったわ…行きましょう、椛」
椛「文さん…」
射命丸「早く行きなさいよ。だいたい…あんたが弱いから、ストーカーなんてされるんでしょ」
椛「……!!」
流石に泣きそうな顔になる椛。はたては再び睨み、椛は出ていく
はたて「見損なったわ、文。椛はいつも、あんたのこと頼りにしてるのに…
最低。」
はたてはそれだけ言うと、出ていった
同感だよ………本当に……
私は部屋で、三人で過ごしたことを思い出していた。………確かに、私は新聞ばかりで…仲間のことなんて考えてなかった。これが、私とはたてとの差……?いや、そういうのじゃない……なんなんだろう……
ふと、窓から外を見ると…入り口に妖怪がいた。
射命丸「あなたは…?」
外に出て、その妖怪に話しかける
「あ、こんにちは…私、椛ちゃんの友達の…早乙女 雪です」
そうか…椛にこんな友達が………私は、本当に何もわかってないんだな……
雪「えっと…椛ちゃんは?」
射命丸「あ、えっと……今、はたてと出掛けてます」
雪「そうなんですか……あの、あなたが射命丸文さんですよね…?」
射命丸「私のこと知ってるんですか?」
雪「はい……」
頷いて、ニコッと笑う雪
雪「昨日の新聞読みました…はたてさんの椛ちゃんが付き合うっていう記事を読みました。いろいろ、参考になりました」
射命丸「え?参考…?」
雪「い、いえ…こっちの話です…」
苦笑する雪。なんかこの子、無邪気な感じだな…
雪「あ…あれって…」
雪が少し顔色を変えて、ある方向を見る。私もそっちを見ると……誰かはわからないが、人影がある
射命丸「まさか、ストーカー…!!」
それを言った直後、その人影が逃げる。雪は、違う方向へ走り
射命丸「私が絶対に捕まえる…っ!!」
角を曲がって、さらに角を曲がる……そして、そのストーカーに飛び付き、一緒に倒れる
射命丸「捕まえた………あれ…にとりさん!?」
そう、捕まえた相手は…このよ妖怪の山に住んでいる、河童の河城にとりだ。
射命丸「まさか、にとりさんがストーカー…」
にとり「そんなわけないだろー!」
射命丸「いやでも、にとりさんなら…姿を消せる道具とか作れそうですね…」
にとり「だから、違うってば!」
両手を前に出して横に振り、必死の否定をする
射命丸「じゃああそこで、何をやってたんですか!答えてください!
にとり「あの早乙女雪っていう妖怪を見てたんだよ!最近、椛がストーカーにあってるって言うから、姿を消せる奴でも見える眼鏡を作ったんだよ。それで椛の近くを見たら……
あの早乙女雪がいたんだよ」
射命丸「………っ!!」
何を…何を言って………
空が曇り始め、雨が降る
にとり「お前と話してる時、友達だって言ってたけど…多分、椛はアイツのことしらないだろうなぁ」
射命丸「ちょ、ちょっと待ってください!あの人が…ストーカーですか…!?」
にとり「何日か見たけど、毎日いるから今日伝えようと思って…」
じゃあ…あの「参考になりました」って……
射命丸「……っ!!」
にとり「あ、どこにいくんだよぉ!」
私は、雨の中…霧雨の森へ飛んだ。ハイイロの空の下を………
手遅れになる前に………っ!!
私が霧雨の森についた頃には……もう、何もかもが手遅れになっていた。雪は取り押さえられ、はたては背中から血を流していて…運ばれて……泣いている椛がいた
射命丸「あ……ぁ……あぁぁ…………っ!」
はたてを追いかけようとしたが、近くにいた人に止められる
射命丸「はたてぇっ!!!」
そのまま、はたては永遠亭に運ばれた。
永遠亭に着くと、泣いてる椛と……布団に入って、顔に布がかけてあるはたてがいた
椛「文さん…はたてさんが……はたてさんがっ…死んじゃいましたよぉ………っ…」
椛は泣きながら、私にはたての死を伝えた……私は、はたてを見ていた…
その後、早乙女雪の事情聴取をした妖怪に、話を聞く私と椛
妖怪「事情聴取をしてみました。早乙女雪は、はたてさんを殺そうとしてました。何やら、はたてさんは椛さんと付き合ってる…とか、なんとか……今だ、取り乱していて…」
何を、何を言って………
「はたてさんと椛ちゃんが付き合うっていう記事を読みました。いろいろ、参考になりました」
ガタンッ!!!
座ってた椅子から落ちて、私は頭を抱える
射命丸「あぁ…あぁぁぁ……ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
椛「文さん!?どうしたんですか!?文さんっ!文さんっ!!」
なんだ……私が悪いんだ…………
私があんなくだらないこと書いたから……はたてが死んだんだ……
はたての葬式に出た私、椛の姿が見えない
白狼天狗「射命丸さん、この度は…」
射命丸「…椛は……?」
話しかけてきた白狼天狗に、椛はどうしたのかを聞く
白狼天狗「ごめんなさい…あの子、まだ立ち直れないみたいで…」
射命丸「……そうですか…」
はたて葬式が終わって、家に帰る。はたてがもういない……?もう、この世に存在しない?……私は、まだはたての死を…完全に受け止められてない……
翌朝、いつもの時間に起きて…出掛けようとする。
何か…胸の奥が痛い………
射命丸「……………」
あの日から、ずっとハイイロに見える空を見上げる…
何をやってるんだ、私は……
私は家に帰った……そして、椛のことを思い出す
もし、私が椛の目の前に現れたらどうなる?きっと、はたてを思い出すに違いない……
私は、妖怪の山から出ていった………
別の住居で、私はベッドに入っている
「見損なったわ、文。椛はいつも、あんたのこと頼りにしてるのに……最低。」
射命丸「………」
あのときのはたての言葉が、頭の中で響く。
射命丸「…違う…はたて…椛………私が悪かった……」
今さら、何を言っても届かない………
窓を開けていて、あのハイイロの空を見ている。私は、窓を見る
あの窓に、雪がうつったように見えた
「はたてさんと椛ちゃんが付き合うっていう記事を読みました。いろいろ、参考になりました」
私は、新聞記者をやめて………「射命丸文」という存在を捨てた
その後、私は「大蓮寺 朱雀」として生きる。そして、ハイイロにしか見えなかった空を、元の色に戻してくれる奴が現れたが……それはもう少し、先の話だ
次回予告
レン「次回から、秋でーす」
スザク「えらく季節巡るな」
レミィ「次回『秋の山』だよ、読まないと撃つよ」
スザク「怖いな」
14/11/11 12:57更新 / 青猫