連載小説
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優「………」
転校して数日が経った…けど僕は、ずっと自分の部屋に閉じ籠ったままだ。ずっと、あの日のことを思い続けてる。
あの殺人ゲームが起きたのは…"学校"だ。学校で、授業と称してそれが始まって…次々と生徒や先生を殺していった。その中に……精神があまり強くなかった人や、運動神経がよくなかった人…もしかしたら、障害を持ってた人もいたかもしれない。けどその授業は、その人がどんな状態でも関係なく、理不尽に命を絶っていった……
その光景を見てきた僕は…違う学校にいても、あの時の光景が脳裏を過る。

もう、あんな光景は見たくない。あんな危険な目に逢いたくない…学校に行かなければ、きっと安全だ…そう思った。
きっといつか…この気持ちが"死にたい"っていう気持ちになる日も、そう遠くはないだろう…

そんな考えを、何もかもを壊す現象が起きた……

優の部屋の中、机の上にあるデスクトップパソコンの画面がつく…
優はそれに気づき、顔を上げてパソコンの画面を見た……












[ルール]

1.1週間以内に脱出すること
2.指定された敷地にあるものは、使ってもよい
3.捕まらないこと
4.授業は強制参加、途中でやめることはできない










優「…!!」
パソコンの画面に映し出された、見覚えのある文章を見て思わず立ち上がり、パソコンから距離を離す。離している内に、部屋の壁と自分の背中がぶつかる。
だが、優はそんなことを気にしていなかった……いや、気にする余裕なんてなかった…

その文章を見ている内に、瞳は小刻みに震え、だんだん息も荒くなっていく…
そして…今まで脳裏を過っていたあの光景が、幻覚となって見え始める…
自分の仲間が死んでいく光景…目の前で助けを求めながら殺された人や、この現実に耐えきれなくなり自殺する光景……そして…最愛の人の、死に顔……

優「っ!!!」
優は机の前にある椅子を掴み
優「うああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
その椅子を、パソコン目掛けて振り下ろした。
何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。























優「…はぁ…はぁ……」
優が椅子を叩きつけるのをやめた頃…机の上にあったパソコンは壊れ、原型をとどめていない、ただの廃棄物になっていた。

椅子をその辺に投げて、また俯いて座り込んでしまう。

…また、あの惨劇が始まる……

…もういっそ、死んでしまえば楽になるんじゃないかな……
そしたら、またみんなに会えるんじゃないかな……
きっとここにいれば…いつかは死ぬだろう……

もう、全部どうでもいいや…………




















「諦めんのか?」

その時、聞き覚えのある声が聞こえた
優「…京也……?」
そう…もうこの世にいない筈の親友の声が聞こえた。顔を上げて立ち上がり、周りを見るが…どこにも京也の姿がない。だご、声だけは聞こえた…

京也「いつか、言ったよな。"死んだ奴等の分まで生きろ"って。」
あの時…倉本先生が自殺した時のことだ。間接的だが、倉本先生が自殺するきっかけを作ってしまい、そんな現実が嫌になって自殺しようとした…
でも、京也がそれを止めて、僕に言ってくれた言葉だ。

優「…でも……もう無理だよ…みんな死んで…それで、今から大勢の人が死のうとしてる……」
京也「だからって、逃げるのかよ?」
優「………」
優は、俯いて黙ってしまう。

京也「いいか、優……お前の命はな、もうお前だけの物じゃねーんだよ。死んだ俺達の分…いや、それだけじゃねぇ。これから、この理不尽なゲームに参加させられる全員の物でもあるんだよ。」
優「全員の……」
顔を上げて、前を見る…そこに京也がいるように思えて、じっと見る…

京也「そうだ…だから、簡単に死ぬなよ。それによ、やられっぱなしでいいのか?それでいいのか?」
優「…僕にできるかな……」
京也「出来る、絶対に出来る。お前のことを一番よく知ってんだ、俺を信じろ!…そうだ、この状況に"ぴったりな物"があるじゃねーか!」
優「…?」
京也の言った「ぴったりな物」が何なのか、わかっていない様子の優。

京也「お前の机の、二番目の引き出しに入ってるな…開けてみろよ?」
京也に言われたとおり、二番目の引き出しを開ける。中には文房具や書類等が入っていたが…一つ、見慣れないものがある。楕円形の小さな何かだ。

京也「覚えてるか?中学生の夏休み、俺が1日だけ金髪にしたの。塗るだけで金髪にできるワックス…だったっけ。」
思い出した。夏休みに僕の家に遊びに来た京也が、驚かせるのと自慢するために金髪になって来たこと。
それで、僕の金髪姿が見たいって…渡したんだっけ。結局やらなかったけど…

優「…確かに、ぴったりな物だね……」
優は、京也が言ったことの意図を理解した様子で、蓋を開けて髪に塗りはじめる。


京也「……優等生のお前が、今から不良になる。だけど、普通の不良なんかじゃねぇ。この理不尽で、ふざけた授業(ゲーム)を……」














"壊すための不良"だ!!


つづく




19/09/06 20:26更新 / 青猫
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