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この施設で目覚めてから、5日目になった。昨日は3階を調べようとしたが……どうもおかしい。毎日1階を調べているはずなのに、出口が一向に見つからない。だから昨日は1階を調べたが……やはり見つからない。もしかすると、どこかに隠しているのだろうか……もしそうなら、ここは本当に普通じゃない……。
1階には化け物がいる……化け物の目を気にしながらその隠してるであろう出口を探すのは困難だ……。
まだ食料は半分ある…今日は、3階と1階を調べよう。
イヴ「……」
4階から6階までは、化け物がいない……3階はどうだかわからないから、ナイフを持って行こう…。
そう思ったイヴは、自室から出て3階へ向かう…
3階に到着した。廊下に使えや書類、様々な物が投げ出されている……ここに化け物がいるか…若しくは、自分が眠っている間に何かあったか…。
そういえば…ここの人間は何処へ?あの徘徊してる化け物は、ここにいた病人…それか、実験体か、そのあたりだろう。だが、ここでその研究をしていた人達は、何処へ?2階と3階はまだ調べてはいないが、恐らく正気なのは私だけ…。ここで、何があったの……?
そう思いながら、周りを警戒しつつ3階を調べに行く。
部屋を見て回る…4階とは違って、薬品や医療器具、手術室……そういうものが多い。壁や床に、薬品の散った跡、血の跡……見てて気味が悪い。ここで……あの毒みたいな色をした薬品を使って、実験してたのだろうか……ここで、あの化け物ができたのだろうか………?
そう思いながら部屋を調べていると、机の上にパソコンが1台置いてあるのが見える。電源コードは千切られていない…パソコンに近づいて、電源を入れると、起動する…
イヴ「やった…!これに、私の情報とか入ってれば…!」
期待した様子でパソコンが立ち上がるのを待っている……運良くパスワードとかは入れたままだった。そして、パソコンが立ち上がった。立ち上がると、あるページが開かれる。
イヴ「これって…」
そのページには、この施設の近況報告が書かれてある。横の項目に、実験体データもある。
イヴ「1発で見たいページが見つかった…!」
早速実験体データの項目をクリックして開く。実験体の名前が一覧で出ており、実験体のことが簡単に書かれている。
悪魔因子適合者になった者は、人間離れした身体能力と力と治癒能力を手に入れ、体内に「闇」を宿し、自在に操ることができる。また、見た目は人間と変わらず、悪魔因子の力を使用する際、目が変色し顔に紋章が現れる。そして、体から悪魔因子のモデルとなった生き物の一部を出すことができる。
(例:モデルが猫の場合、爪や尻尾の形をした闇が現れる。顔に現れる紋章も、それと関係したような物になる。)
尚、適合者にある一定まで食事を与えなかった場合、禁断症状が発生する。禁断症状が発生した適合者は、生き物すべてを食べ物と認識して、襲う。無論、人間もその対象に入るため、食事は毎日与えること。適合者が適合者を喰う、若しくは異能者を喰った場合、その適合者の力を手に入れることができる。
【実験体一覧】
・アイラ・ニコル
・アイザック・セシル
・アルト・フルバスター
・イヴ・グレモリー
・ウルビダ
・エレイン・フィアライト
・エレン・クローディア
・キース
・キルロイ・ネクロム
・グスタフ・ハイド
『次へ→』
イヴ「やっぱりここも、実験をしてたんだ…」
悪魔因子適合者のことはわかった、自分の名前を見つけたのでそれをクリックする。
適合者コード:205499
名前:イヴ・グレモリー
年齢:16歳
性別:女
2100年5月13日に、この施設に運ばれた実験体。両親とは同居していなかったようで、好都合。早速悪魔因子を投与したが、今までの実験体のように暴走はせず、眠っている。
あれから何日も様子を見に行き、毎日栄養を体内へ送る点滴をしているが、起きる気配がない。いつ目覚めるかはわからない上、目覚めた時に暴走する恐れがある。引き続き、様子を見に行くこと。
イヴ「………」
私にも投与されていた……悪魔因子を。もう私は人間じゃないの……?でも、体に変なところはない……闇なんかも出せない…じゃあ、失敗したのかな……
イヴは、投与されても失敗して、自分は普通の人間のまま……そう期待して、いや…願っていた。悪い方へと考えてはいけない、そう言い聞かせるように…
だが、その願いを砕くような…そんな物をイヴは見てしまった。
イヴ「……!
それは、日付。このパソコンが正常ならば、今の日付や時刻を表示している……
5326年4月6日 09:35
ちょっと待って……さっき書いてあった年って、2100年でしょ……じゃあ、私は………3000年以上も、眠ってたの…!?
目に映る物に、絶望し、理解する……自分は化け物だ。人間なら、こんなに生きられるはずはない……
私も…ここを徘徊する……化け物と一緒なんだ……。
化け物「アァァ……」
イヴ「…!?」
すぐ後ろに化け物がいることに今まで気づかず、化け物の声で存在に気づく。すぐに逃げようとしたが…化け物に肩を掴まれる。
イヴ「…っ…!放して…!!」
なんとか振りほどこうとするが、化け物の力が強すぎて振りほどけない。そしてそのまま、化け物に左肩を噛みつかれる。
イヴ「ああぁぁ…っ…!!!」
イヴは苦痛に顔を歪め、悲鳴をあげる。化け物はそんなこと気にもせず、どんどん歯を奥に入れていき…イヴの肩を喰いちぎる。
イヴ「っ!!」
イヴはその場に倒れてしまい、喰いちぎられた左肩を押さえる……苦痛に歪めた顔を化け物に向ける…
化け物はイヴの血液を口から流しながら肩の肉を喰っている……
殺される…このままここにいたら…
あの化け物に喰われて……
肉も…
内臓も……
骨も………
私が、完全に無くなる……
誰も知らないまま…私は死ぬ……
嫌だ…
死にたくない……
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない…!!
イヴ「…っ!!」
イヴは立ち上がって、逃げ出した。
周りの物に目を向けず…必死で逃げた。彼女を動かしているのは…「死にたくない」という心……人間の心のみ。
6回の自室まで走り、急いで扉を開けて扉を閉める…もう化け物は追ってきてないのに……。
イヴ「はぁ…っ…はぁ……ぁ…っ……」
涙を流しながら呼吸を乱していた……心臓の鼓動が速い……そのまま破裂して弾け飛びそうなくらいに……
今でもハッキリと覚えている…肩を喰いちぎられた感覚が……
イヴは、喰いちぎられた肩に震えた手を乗せた……
しかし、ある違和感に気づく…
イヴ「…?…あれ…あれ……?」
何度も左肩を触るが……その違和感があるままだ。
そう…喰いちぎられたはずの肩が…治ってる……。
もう痛みもない…完全に元通りに治ってる……
部屋の鏡で、それを確認する…血は付着してはいるが、綺麗に治ってる…。
イヴ「なんで……!?」
肩が治ったことにも驚いたが…今驚いているのは、自分の顔だ……
イヴ「なに…これ……!?」
右目が変色して、妙な紋章が現れている……だが、右目は徐々に元の色に戻っていき、紋章も消えていく……
イヴは思い出した……先ほど読んだ、適合者のことについてのことを…
"悪魔因子の力を使用する際、目が変色し顔に紋章が現れる。"
私の体は、もう人間じゃない………化け物だ…。
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17/04/11 19:28更新 / 青猫