【キミとボク。】
作者:ふぁすなーさん


――初美…初美…!


……キミのいない世界には色がないんだ。





――葉月ちゃん…。
優しい声がする。
…誰?
ボクを呼ぶのは?
もっと傍に来て…






―PiPiPi…PiPi…ッ!


「初美…!?」
機会の硬い音を発する目覚まし時計に起こされ、葉月は起きた。起きるなら、起こされるなら、布団の上からでも感じられる、初美の手の平が良かった。でも、初美はいない。
あの日、初美はいなくなった。一緒にお祝いがしたかった。もっとこれからも一緒にいたかった。
でも、目覚めた現実は、初美がいない世界を強調する。
現実へと、葉月を呼び戻す。

泣きたくなった。



いつもの様にパジャマを脱ぎ、いつもの様に初美が選んでくれた下着を着け、制服に着替える。
本当はブラジャーは付けたくない。窮屈だから。
でも、初美が…手話でだけれど、『男の人はオオカミだからちゃんとしなきゃだめだよ』と言ったから、だから付けている。初美が『葉月ちゃんは可愛いから、余計に危ないんだよ?』と言ったから。
それに、初美が選んでくれたものだから、付けていたい。

―ほら、ボクはこんなに初美でいっぱい。


何で初美はいないんだろう。初美の言う通りにしてるのに。





葉月は自分の頬をパンと打ち付け、泣きそうな自分を戒めた。
カバンを持ち、家を出た。初美が消えた家を。




学校なんてつまらない。下級生の女の子達はキャーキャーうるさいし、一部の男性教師の視線はいやらしいし、一件爽やかそうな顔をしていても、ココロの中では何を考えているんだかわからないヤツもいる。
初美に言い寄っていたあの男も、今度は葉月に言い寄ってくる。
本当に毎日がつまらない。まるで色がない様に。
初美が、初美だけが、葉月に平穏と安らぎをくれる。他は、ただ気持ち悪くて、彼女を不快にさせるだけだった。

いらない、こんな初見のいない、こんな世界。



「初美…帰ってきて…」
屋上でひとり、昼食を取り、そんな事を呟く。初美からメールが来れば、いつでも初美の傍に行くのに。
メールは来ない。何にも、連絡も何も。メールの受信ボックスも送信ボックスも、何故だか空になっていた。アドレス帳を見ても、初美の名前が入っていない。アドレス帖を見なくても、初美のメールアドレスくらい覚えている、と初美のメールアドレスを打ち込んで送信してみても、ただエラーメッセージが返ってくるだけだった。

―どうして?ボク、初美に嫌われる様な事した?


「初美…初美ぃ…」






家に帰って、玄関を見ても、やっぱり初美の靴はない。初美の部屋に入っても、初美の姿はない。バスルームも、キッチンも。
自宅に帰るたび、葉月は初美を探す。そんな事をしても、初美は見つかったりしないのに。虚しくなるだけだというのに。

夜が来て、1日の最後にもう1度、初美の部屋を訪れるのが、葉月の日課だ。
もしかしたら、もしかしたら、と彼女の心に期待が生まれるからだ。

「初美…会いたいよ…初美…ぃ…!」
葉月は初美のベッドを涙で濡らす。こんなに初美がいないと駄目になるのに、初美がいないとこんなに生きる事がツライのに。
どうして初美は傍にいてくれない?
彼女の頭を過ぎるのは、不安な言葉ばかりだった。
初美は自分を嫌いなんだ、だから自分の傍から離れたんだ、と。何度も思っては頭を振って誤魔化した。
別の何かで自分を満たせば、この苦しみから逃れられるかもしれない。
それが間違っているとしても、それが普通じゃなくても…。


「ん…っ」
葉月はパジャマのズボンの中に、その細い指を入り込ませ、下着越しに秘部に触れる。もうすでにほんのり湿っている自分の下着が嫌だった。でも、ゆっくりと行き来する自分の指が気持ちよくて、また彼女の下着がじわりと濡れた。
「ん…ハッ…」
下着と脚の継ぎ目から指を入り込ませ、ぬるぬるとした自分の愛液を絡め取った。周りを撫でるだけでゾクゾクした。自分を焦らすかの様に何回も何回も行き来する。
「ん、んぅ…っ」
もっと擦りたい、もっと擦って欲しい。次第に自分の指先を初美の舌先であるかの様に擬似感を得る。
初美の舌が自分の中に入っていく。入口をゆっくり解す様に広げて、ゆっくりと奥にへ、と。初美が『葉月ちゃんをもっと可愛くしてあげたいの』と言って下着とパジャマのズボンを中途半端に脱がせる。葉月を仰向けに寝かせ、入口を何回も出入りする。
「はつみぃ…っ、はつみ…ぃ…んあっ!」
どんどん奥に入っていく。その途中で何度も絶頂を迎えそうになる。
「もっ…と、して…ぇ…!」
もっと襞をめくって欲しい、もっといっぱい触って欲しい。
「いあ…ひぅ…ッ!」
不意に1番感じてしまう、女性が勃起する場所に当る。
1番イイ反応を示すものだから、そこばかりわざと責める。
「あぁ…!やぁ…そこ…ッ、だめ…っ!!」
コリコリと硬くなった豆粒上のそこは、痛いほど腫れ、擦るたびに快感と共に痛みをもたらす。
「んやぁ…!もっと…ぉ…はつみ…焦らさない…で、やぁ!!」
初美の舌は硬くなった部分を責め、指を中にくわえ込ませた。
「ん、んやぁ…あ、ああ!だめだよ…ぉ…!」
―葉月は指を左右に2本ずつ使いながら、初美を夢想する。
M字型に股を開き、初美を誘い込むようにヒクヒクと入口は動く。もっと触れて欲しい。それだけで頭はいっぱいだった。
「ひあ!ふあ…ん、ああああッ!!」
豆粒上の突起を強く摘まれ、葉月の性器からビュッと淫汁が噴出した。
彼女は初美でイってしまった。
『いけないコだね、葉月ちゃんは』
そう聞こえた気がした。
「はつ…みぃ…ごめ…でも…ぉ…」
初美が気持ち悦くしてくれたから、こんなになっちゃうんだ、と葉月は自分の太ももを愛液で濡らした手の平で大きく、そしてヒクヒクと振るえた穴を見やすくするために広げた。
初美に見てもらえる。だから、いっぱい見て欲しい。
初美を想うと、初美の事を考えるとこんなにビショビショになるまで濡れてしまう。だから、もっと見つめて、自分だけを見て、と。

―ボク、コンナニハツミデイッパイナンダ…。

涙で潤んだ瞳で、ここにいる筈のない姉に訴える。
『葉月ちゃんばっかり気持ち悦くなっってヒドイ…お姉ちゃんのココも気持ち悦くして?』
初美がいつものセーラー服のスカートの裾を持ち上げ、ショーツを下げ、自分の性器を葉月の口元に寄せる。
舐めて?私も舐めてあげるから。
葉月は拙い舌の動きで初美の淫部を舐めようとする。けれど、自分の秘所を蠢くモノは変わらずあり、葉月の中を動き回る。
「はつみ…ぃ…んあ、イイよ…ぉ…!!ん、う…ん、んんんっ!!!」
もっと初美に触れたい。触れて欲しい。
置くまで届き、どんどん気持ち悦くなる。舌も動かすと気持ち悦い。
『葉月ちゃん…イイ!もっとして…!』
「はつみも…きもちいい…?ん、ん、んあああっ!!!」
初美の腰がいやらしく動いて、葉月の腰もいやらしく動く。
もっと、もっと、もっと…!

「あう、あ、あ、ああ、あぁぁあぁぁぁンンンンン!!!」
葉月は2度目の絶頂を迎え、果てた。
初美の淫部を舐め、その飛沫を受けたような錯覚に陥る。

初美はここにいないのに、あたかもいる様に感じ、初美に触られている様な錯覚に何度も陥っている。こうやって、初美の部屋で1人ですのは、彼女にとってそう珍しい事ではなかった。もう何回も、初美に触れてもらう事を考え、何度も絶頂を得た。

虚しいけれど、快感で、初美がいない寂しさを紛らわせるなら、どんな事でもする。

「はつみ…はつみ…お姉ちゃん……会いたいよ…」











暫くして、一見爽やかさを装っていた教師のひとりが、葉月を犯した。
彼は葉月が何度も“初美”を受け入れた場所を執拗に責め、ドロドロになった彼女の性器をカメラ付ケータイに収め、葉月を脅し、行為を迫ってきた。
初美にしか見せたくない箇所を男の手中に収められている、ましてや従わなければ、それをばら撒くと言う。
男の指を美味しそうにくわえ込んでいる姿を。
初めは、嫌で嫌で堪らなかった。けれど、その行為はあまりにも快楽が強すぎて、彼は葉月がひとりでは決して考えつかない方法を用いるのを容認してしまう。
同時に、犯されている自分をきっと初美は助けに来てくれるという甘い期待もあった。でも、その期待が砕けるたびに傷つく葉月を今度は男の行為が癒してくれる。
…何て馬鹿なんだろう自分は。
そう思いながら、葉月の淫部は彼の猛った性器にしゃぶりついた。

「あ、あん…あああ…お願い…出して…ぇ…!!あ、あ、あああ!!!!」
「駄目。東はこの玩具が大好きだろ?」
彼の手の中にある玩具のリモコンは出力MAXを示していた。
「早く…ぅ…!!いっぱぃ、先生の欲しい…よ…ぉ…!!」







――本当に欲しいのは“初美”の、お姉ちゃんの笑顔…お願い、初美…帰って来て…。


―はつみ…ぃ…初美…。






END…?


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